「白紙運動」1周年を迎える中、中国では新たな「不明の肺炎」の流行が発生している。中共中央と関係がある人物の情報によれば、中国共産党の党首が疫病流行の深刻化を報道しないでおくよう指示しているという。
当局は疫病と「白紙運動」に同時に対応しており、潜在的な抗議者に対しては警告を行い、大学では学生リーダーに対して秘密裏に忠誠を誓う文書に署名させている。最近、北京や上海の病院や街角で警察官の数が増え、政治的な「水面下での動き」が進行中である。
習近平が疫病流行の深刻化を報道せずにおくよう指示
北京の中共中央政府事務所と軍関係者と近い関係がある楊青(仮名)氏は11月26日、大紀元記者に対し、中国共産党(中共)当局がいわゆる「マイコプラズマ肺炎」や「インフルエンザ」といった感染症について、外国メディアの取材を禁止していると述べた。これは中共の党首、習近平の指示とされる。
習近平は今月、サンフランシスコでAPECに参加し、米中首脳会談で、「友好的」な外交を宣言した。中国は最近、複数の国に対するビザ免除を始めたばかりであり、習近平は現在、中国国内で発生している疫病流行を普通のインフルエンザや他の病名で報道するよう指示している。
新型コロナウイルス(中国ウイルス)の大規模な変異株の流行として報道されれば、外国人が中国を訪れることはなくなるだろう。
「習近平の意図は、この問題が大々的に報道されることを避け、自身の外遊が失敗した印象を防ぐことである」と楊青氏は述べている。
また、楊青氏によれば、専門家を使って情報を操作する以外に、中国の国内メディアは疫病流行に関する重要な報道を一切行っていない。
もちろん、インフルエンザ予防などの一般的な健康情報は発信しているが、それは主に子供を対象にしており、成人の感染については触れていない。「これは、言葉の使い方に注意する典型的な問題である」と楊青氏は指摘している。
中国では新たな流行が強まり、小児病院が満員となり、多くの医療従事者が感染しているとの報告がある。「白肺」という症状を伴う死亡例も報じられており、かつての武漢ウイルス拡散と同じ事態が懸念されている。
中共の国家衛生健康委員会は11月26日の記者会見で、最近の呼吸器感染症はインフルエンザが主であると発表している。さらに、ライノウイルス、マイコプラズマ肺炎、RSウイルス、アデノウイルスなども原因しているという。
しかし、11月24日には中共の国務院が複数の呼吸器疾患の流行対策に関する通知を発表し、「新型コロナウイルス感染症」を特に強調している。
世界の感染症監視ネットワークProMEDは、北京を含む中国北部地域の病院が「不明な肺炎」の子供たちで溢れていると警告し、「未知の呼吸器疾患(肺炎)の広範な発生」を懸念していると報告している。
新しい流行と白紙運動一周年の重なり、安定維持が強化され、水面下での動きが活発化
楊青氏によると、この流行に対し、白紙運動1周年と重なっているため、当局は特に緊張しているとし「北京の警察は今週特に忙しく、昨年運動に参加した人々が集中的に訪問を受けた」と述べている。
彼は例として、北京の良鄉大学城、亦莊子経済開発区、豊台麗澤橋など、若者がよく賃貸で住む地域で地域委員会と地域の担当者が一軒一軒訪れ、登録作業を行っていたことを挙げた。
楊青氏は「彼らは訪問するとき、マスクや風邪薬、消毒液を持ってきている。これは疫病予防という名目である。最近のインフルエンザは厳しく、北京での仕事が大変などと言いながら、最近何か集会をしていないか、そういった思想の動向を探っている」と述べている。
また楊青氏の友人は今年9月、白紙運動に関連する発言をテレグラムグループでしたところ、それほど敏感なコメントでもなかったにもかかわらず、すでに3回も事情聴取されたという。
「最近また彼を探しに来て、会社にまで行った。彼はとても嫌がって、『会社に来ないでくれ』と頼んだ。私たちには仕事があるし、仕事を見つけるのは簡単ではない。最終的には彼らを追い払ったが、すでにそういう状況になっている」と楊氏は語る。
楊青氏によると、現在全国各地で「水面下での動き」があり、大学では秘密裏に学生幹部に党への忠誠を誓う誓約書へ署名を求めている。
「大学は冬休みを迎えており、北京と河北のいくつかの大学では、学生幹部に特定の誓約書への署名を求めている。これは、共産党に忠実であり、重要な時には学生側に立たないという意味である。まるで文化大革命の紅衛兵のようだ」と楊氏は述べている。
楊青氏によると、当局は学生幹部に、学生グループに潜入し学生たちの思想動向を把握し、学校にリアルタイムで報告するよう求めている。これらの学生は将来、大学院進学や公務員試験を目指していて、多くの人は政治的経歴を得るためにやっている。
北京の病院には特別警察が駐在、上海のウルムチ中路で警察力を増強
楊青氏によると、現在北京の多くの病院には特別警察が駐在しているという。「特別警察はすでに1か月前から駐在している」
北京だけでなく、上海でも11月26日、上海市中心部の通り「ウルムチ中路」と安福路の交差点で警察官が増えている。
去年の11月24日、中国新疆ウルムチの住宅地区で大規模な火災が発生した。コロナ対策のための封鎖措置が救助活動の遅れを引き起こしたとの疑いが持たれている。この事件で10人が亡くなり、9人が負傷した。その2日後の11月26日、江蘇省南京の伝媒学院の学生たちはキャンパスで「白紙」を掲げ、犠牲者を追悼し、政府の「ゼロコロナ」政策に抗議した。
この抗議はその後、全国に波及した。特に上海のウルムチ中路では、大規模な抗議活動が起き、「共産党を打倒せよ」「習近平は退陣せよ」というスローガンが叫ばれた。この一連の抗議は後に「白紙運動」と呼ばれるようになった。運動の発生後間もなく、中共政府はゼロコロナ政策を撤回した。
今年の10月末のハロウィンでは、多くの上海の若者たちが街頭に繰り出し、コスプレを利用して当局への不満を表現した。中には、習近平や江沢民を連想させる「くまのプーさん」と「ヒキガエル」に扮した者や、コロナ対策で知られる「ダイバイ」(防護服を着た医者)に扮した者、そして「白紙運動」を象徴するA4サイズの白紙を身に着けた者もいた。
中国共産党はハロウィンのこれらの「コスプレイヤー」に対して後から報復を行い、既に複数の逮捕が行われたとの報道がでている。
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