もはや医療崩壊は目前 北京の小児科「急診の待ち時間は24時間以上」=中国

2023/11/23
更新: 2023/11/25

現在、中国の北部を中心に、発熱や肺炎をともなう呼吸器系の感染症が大流行している。北京、天津、上海、遼寧省などの病院は患者で溢れかえり、病床が足りない状況が続いている。

ある医療従事者は「今の情勢はゼロコロナ終了(2022年12月)後の初期と同じで、インフルエンザ、マイコプラズマ肺炎新型コロナ(中共ウイルス)が同時に流行っている。我われ医療関係者も大量に感染しており、非常に恐るべき状況だ」と話す。

急診の待ち時間は「24時間以上」

今回の感染症は、とくに子供の患者が多い。北京市や天津市、遼寧省などの児童病院(小児科)では昼夜を問わず、発熱児童で大混雑していることを示す動画がSNSに拡散されている。

なかでも、北京の病院の小児科に至っては「医療崩壊が目前」とまで噂されている。

 

昼夜を問わず混雑する「北京児童医院」。2023年11月21日撮影。(中国のSNSより)

 

「北京友誼医院」小児科の窓口には「急診外来は24時間以上の待ち時間」と記した紙が掲げられていた。

緊急の処置を要する患者が「24時間待ち」では、実質的に医療が崩壊しているといっても過言ではない。そのほか、子供の患者をかかえた保護者同士による「順番待ちトラブル」で、警察沙汰にまで発展するケースもある。

医療従事者や病院職員が感染すれば、病院は完全にストップする。清掃や消毒が行き届かないため、病院でありながら衛生状態は非常に悪い。院内感染のリスクは極めて高く、病院はもはや患者にとって「危険を増す場所」になっているのだ。

それでも子供が高熱を出せば、親は高額な医療費をなんとか工面して、病院へ連れていきたいと思うのは当然だろう。しかし、自家用車があっても、路上の至る所に罰金稼ぎの警察が狙っているのでうかつには出られない。タクシーも、ほとんどつかまらないのが今の北京市内の現状である。

また、その数は正確には分からないが、経済的理由またはその他の理由により、病状がひどくても病院へ行くことができない患者、あるいは病院の混雑ぶりを聞いて、始めから行くことを諦めた患者が無数にいることは容易に想像できる。

この異常な混雑ぶりについて、ある地元民は「こんなことは初めてだ」と驚く。「私の家の子供も感染した。子供の学校のクラスでは、生徒の半分以上が感染している」と吐露するネット投稿も少なくない。

 

夜中も混雑する「北京児童医院」。(中国のSNSより)

 

「感染情報の封鎖」を続ける中共当局

児童のみならず、北京市では「大人の感染」も深刻な状態になっている模様だ。

あるインフルエンサーによると「北京医院の呼吸器科が(以前のコロナ禍のように)再びごった返している。私も感染したので火曜日(21日)に病院の外来受付に行ったところ、診てもらえるのは金曜日だと言われた」。病院とはいえ、もはや通常の医療は全く期待できないことが伺われる。

天津市のある小児科は「平常時の十数倍」に相当する毎日1.3万人を超える外来患者で大混雑している。

いっぽう、SNSに投稿された大量の動画によると、この1か月間で遼寧省大連市の小児病院も患者で溢れかえっている。

こうした惨状に、もはや医療現場が悲鳴を上げていることは明らかだ。しかし、中共当局は感染情報の封鎖を続けているばかりか、市民が自身の感染や病院での混雑ぶりについて語ることを禁じている。また、中国メディアも各病院での混雑状況については、ほとんど報道していない。

 

昼夜を問わず混雑する「北京児童医院」。(中国のSNSより)
昼夜を問わず混雑する「北京児童医院」。(中国のSNSより)

 

「中共ウイルス」に酷似した症状

現在、中国で流行っている感染症の主な症状は咳、発熱、喉の痛み、嘔吐などであり、中共ウイルス(新型コロナ)の症状と非常に似ている。

しかし当局は、これを新型コロナ(およびその変異株)とは認めず「マイコプラズマ肺炎(中国語:支原体肺炎)」あるいは通常のA型インフルエンザであると主張している。

これに対して、民間では「本当は新型コロナに違いない。当局が、また呼び名を変えただけだ」と疑う声は根強い。

いっぽう、米国のウイルス学の専門家で、米陸軍研究所のウイルス学科実験室主任も歴任した林暁旭博士は「これは、やはり新型コロナの変異株である可能性が高い」と分析している。

また医療関係者の間では「中国における各種感染症の流行は、過去に中共ウイルスを感染したために免疫系統が損なわれたことと関係があるか、もしくは質の悪い国産ワクチン(中国製)が引き金になっているのではないか」と疑う声も広がっている。

 

(昼夜を問わず混雑する、北京の児童医院)

李凌
エポックタイムズ記者。主に中国関連報道を担当。大学では経済学を専攻。カウンセラー育成学校で心理カウンセリングも学んだ。中国の真実の姿を伝えます!
鳥飼聡
二松学舎大院博士課程修了(文学修士)。高校教師などを経て、エポックタイムズ入社。中国の文化、歴史、社会関係の記事を中心に執筆・編集しています。