【分析】未完成住宅プロジェクトは約2千万戸 中国不動産業界に広がる信用不安  

2023/11/16
更新: 2023/11/16

野村證券が11月15日に発表した報告では、2022年末の時点で中国において約2千万戸の未完成の予約販売住宅があると推定されている。この数は、中国最大の民間開発業者である碧桂園の規模の約20倍に相当する。

陸挺氏の率いる野村證券チームは、未着工または遅延納品の予約販売住宅が約2千万戸に上ると推定している。これらのプロジェクトの完成には約3.2兆元(約67兆円)が必要とされている。 

野村のアナリストたちは、新築住宅の完成量が今年20%増加したとしても、2015~20年にかけて販売された予約販売住宅のわずか48%が納品されるに留まり、残り52%は納品が遅れると述べている。中国では、マンションが完成前に販売されることが一般的だが、住宅の引き渡しの遅延は新住宅の購入意欲を低下させる恐れがある。 

報告によれば、不動産業界の崩壊と開発業者の信用危機が広がる中、新住宅の引き渡しを待つ購入者は我慢ができなくなっている可能性もある。アナリストたちは、「住宅の引き渡し問題が社会問題化し、社会の安定を脅かす可能性があり、北京は政策支援を強化する必要がある」と述べており、これが不動産業界と経済の信頼回復の鍵になるとしている。

昨年、工事の遅れによる未完成の住宅プロジェクトに対して、多くの中国の購入者が住宅ローンの支払いを中止する事態が発生した。これに対応して、中国人民銀行は国有銀行6行に対し、2千億元(約270億ドル)の無利子融資を提供した。しかし、『金融時報』の報道によると、計画が開始されてから約1年経過したものの、融資の実行率は1%に満たない状況である。

現在、中国共産党(中共)は低コスト融資を通じて住宅市場の回復を促進しようとしているが、この計画は効果を上げていない。中共は専門的な借入れや政策性銀行に対する中長期の低コスト資金の段階的提供などの政策ツールを利用して、購入意向のある家庭へ資金の流れを促進することを検討している。 

一方、PSL(政策性銀行向け特別貸し出し)は議論の余地があるツールとされている。中国人民銀行は2014年にPSLを初めて使用し、不動産市場の下降を阻止しようと試みたが、この計画は二、三線都市における不動産バブルを引き起こし、批判されている。

陳霆