汚職官僚を告発した高齢女性 告発部門の警備員に暴行されて重傷=中国 福建

2023/10/25
更新: 2023/10/25

今月18日、福建省福州市に住む高齢女性が、地元の汚職官僚を告発するため市の陳情部門を訪れたところ、告発資料の受理を拒否されたうえ、複数の警備員によって暴行され重傷を負ったことがわかった。

鄒美玉さん(79歲)は同日の午前10時ごろ、地方官僚の汚職を告発しようと福建省信訪局(陳情局)を訪れた。信訪局職員は「この件はうちの管轄外だ」との理由で、鄒さんの陳情資料の受理を拒否した。

「信訪局の職員は、私の身分証明証をちらっと見ただけだ。資料など、ろくに見ていないのに、それを放り出した」と事件の翌日、エポックタイムズの取材に応じた鄒さんは明かした。

鄒さんはその場で「以前は管轄外ではなかったよ。なぜ今日はダメなのか!」と不作為な職員を問い詰め、怒りのあまり、相手を罵ってしまったという。すると職員は警備員に対し「この婆あを痛めつけてやれ!」と指示した。

鄒さんはその後、警備員によって別の部屋へ連行された。当時、部屋のなかには、警備員2人のほか、地元警察署に所属する警察官3人と、村役人が雇っている暴力団員3人がいたという。

8人の男は、79歳の鄒さんに対して罵声を浴びせ「お前が二度と陳情できないように骨を折ってやる」などと脅した。それから鄒さん地面に押さえつけ、引きずり回すなど、1時間にわたって暴行を加えたという。

その後、鄒さんの通報でやってきた別の警察官に対して、陳情局の職員は「この女(鄒さん)が警備員に対して暴力を振るったからだ」と主張した。

後から来た警察官は、村役人を呼び「鄒さんを病院へ送るよう」指示して、送らせたという。この時、鄒さんはすでに歩けないほどまで痛めつけられていた。

当時の事情を知る村民が、エポックタイムズの記者に対し「村役人は、鄒さんを病院へ送り届けた後、病院に200元(約4千円)の処置費を払って帰った」と明かした。その日の夜、鄒さんは退院し、痛む両足を引きずって自宅に戻った。

この件について確認するため、エポックタイムズの記者が黄石村の林宴平副書記(鄒さんが告発した地方官僚の1人)に電話し、事実関係を訊ねたところ、林書記は「そんなことは起きていない」と主張した。

福州市長楽区の黄石村に住む鄒さんはかねてから、同じ村の村民とともに、村の土地徴用の賠償金を横領した地元官僚を告発してきた。しかし、陳情をするたびに当局からの報復に遭ってきた。

彼女は2021年以降、何度も政府当局が雇った暴力団員に付きまとわれ、暴力を振るわれてきたという。そのなかで彼女は、何度も財布を強奪された。殴られて目から血が噴出し、あやうく失明しそうになるほどひどい暴力を受けたこともあった。

特に皮肉なのは、2021年5月に起きた事である。鄒さんは自宅に押し入った3人の暴漢に暴行された。しかし、最終的には被害者である鄒さんが警察によって6日間拘留され、500元(約1万円)の罰金まで科されたのだ。

鄒美玉さんはエポックタイムズの記者に対して、こう語った。

「私の子供たちは外国にいる。夫は83歳と高齢で、誰も頼れる人がいない。だからこそ、こうやって私をいじめている。私は、これまでに500回は陳情してきた。しかし、いずれも相手にされず、警備員たちに殴られてきた。あいつらは私に対し、79歳だろうと関係ない、刑務所にぶち込んでやる、などといって脅すのだ」

李凌
エポックタイムズ記者。主に中国関連報道を担当。大学では経済学を専攻。カウンセラー育成学校で心理カウンセリングも学んだ。中国の真実の姿を伝えます!
鳥飼聡
二松学舎大院博士課程修了(文学修士)。高校教師などを経て、エポックタイムズ入社。中国の文化、歴史、社会関係の記事を中心に執筆・編集しています。