中国の電気自動車(EV)メーカー「威馬汽車科技集団(WMモーター)」の創業者である沈暉会長が、出国したまま帰国していない。国外へ逃亡したと見られる。
沈会長は最近、ドイツ国際モーターショー(IAA)への出席のため出国した。ところがその後、米ニューヨークへ向かい「そのまま(中国へ)帰国しなくなった」と中国メディア「財経狐頭條」が報じた。
威馬汽車(2015年設立)は中国の新興EVメーカーのなかでも注目株だったが、その後、販売の低迷や上場計画が頓挫するなど、資金不足の苦境に直面していた。
その間、従業員の賃金カットや解雇、生産の一部を停止するなどで対応しようとしてきた。しかし今月10日に「破産申請に向けた調整に入る」と発表。沈暉会長の「失踪」は、その直後のことである。
威馬汽車は、事実上倒産した。これまで同社に融資された410億元の投資が水の泡となった。現在までに、多くの従業員が給料の支払いを求め、横断幕を掲げて抗議してきたが、その相手である会社が消えたのである。
かつて電気自動車(EV)の普及が急速に進んだ中国ではあったが、現在の様相は一変している。
中国経済の低迷により顧客の購買力が低下したこと加え、これまでのEVメーカーの過度な競争によって、過剰に生産された電気自動車(EV)が買い手がつかぬまま大量に並べられ、さながら「EV墓場」を形成しているのだ。
今後も、中国の同業界では激しい競争と、それによるメーカー間での淘汰は必至となる。今回、そのうちの一社の会長が「消えた」。このようなことは今後、珍しくなくなるのかもしれない。
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