毎年数十億もの資金を費し、世界に虚偽情報を広める中国共産党

2023/10/09
更新: 2023/11/15

中国共産党が全世界に虚偽情報や親中的コンテンツを流布するために毎年数十億ドルを注ぎ込んでいるという報告が出た。

報告書によると、中国は全世界に共産主義のプロパガンダを広めるために数十年間、膨大な金額を費やしており、最近では人工知能(AI)まで動員して全世界を相手に「影響力作戦」を展開している。

先月28日、米国務省のグローバルエンゲージメントセンター(GEC)は、このような報告書を公開した。

GECは報告書で「現在、中国共産党は虚偽情報、プロパガンダ、親中コンテンツなどを全世界に流布すると同時に(中国共産党政権に)批判的な声を抑圧している」と指摘した。

続けて「中国共産党は政治的地位を固め、権力を強化するための戦略の一つとして『情報操作』を展開してきた」とし「宣伝と検閲を通じて国際秩序を自国に有利に再編しようとするものだ」と指摘した。

中国の習近平国家主席は、「親中ナラティブ」を世界各国に効果的に広めるため、統一戦線工作部(UFWD)への資金支援を増やしたと報じられている。UFWDは、国外影響力作戦の遂行を担当する中国の国家機関だ。

GECは「中国は自国に有利なように操作された情報またはコンテンツを流布するためだけに毎年数十億ドルの資金を投入している」とし「この資金の規模は年々大きくなっている」と明らかにした。

その上で「中国はソーシャルメディアを使用する多数の外国人をターゲットにして親中世論を造成することに躍起になっている」とし「これを放置すれば、徐々に情報格差、偏見などが生じ、世界各国の経済と国家安全保障まで脅かされる可能性がある」と警告した。

XTikTok

GEC報告書は、中国共産党が主導した影響力作戦の実際の事例として、2022年のセーフガードディフェンダーズ事件を挙げた。

非営利人権団体であるセーフガードディフェンダーズは2022年の報告書を通じて、中国が世界53か国で100以上の秘密警察署を運営した事実を暴露した。 すると、X(旧Twitter)で親中性向のアカウント1千個以上が同時多発的に動き、セーフガードディフェンダーズ側を攻撃したことがある。

GECは中国の動画共有プラットフォームであるTikTokに言及し「中国共産党がソーシャルメディアプラットフォームを活用して親中ナラティブを伝播する代表的な事例」と強調した。

また「米国情報機関によると、TikTokを運営する巨大技術企業であるバイトダンスは、自社所有のソーシャルメディアプラットフォームですでにブロックされているか、今後ブロックされる可能性がある人々を識別する目的で『内部リスト』を作成して管理している」と付け加えた。

また「バイトダンスは中共政権に批判的な声を出したり、このようなコンテンツを再生産、流布するユーザーを内部リストに入れて記録している」と指摘した。

3月、サイバーセキュリティ企業である「インターネット2.0」も「TikTokが連絡先、位置、パスワードなどユーザーの個人情報を収集している」と暴露したことがある。

TikTokによる個人情報侵害、国家安全保障の懸念などが大きくなると、米国、英国、豪州、カナダなど多くの国が政府機関所有の機器でTikTokを使用できないようにした。

宣伝戦術

GECは「中国が言う虚偽情報とは『自国の利益を脅かす主張』を意味する」とし、「自国の政治的・経済的利益を損なうコンテンツを検閲するため、ロシアなど他の国と手を組むこともある」と指摘した。

また「中国共産党はソーシャルメディアプラットフォームであるWeChatを通じて華僑コミュニティに影響を与えようとしている。WeChatで操作や虚偽情報を流布することで、中国政権への忠誠心を持たせようとしている」と述べた。

2020年5月、カナダに本拠を置くデジタル監視団体シチズンラボは報告書で「WeChatが「検閲アルゴリズム」を強化する目的でユーザー間のコミュニケーションを監視していた」と暴露した。

また、GECは「中国は虚偽の人物を作り、偽の権威を与えた後、虚偽情報の出所とする。これが虚偽情報を“もっともらしく”作る中国の戦術だ」と説明した。

その上で「このようなプロセスは組織的に、非常に巧妙に行われるため、オンライン上で親中コンテンツが無分別に広がっている」とし「これが繰り返される場合、世界中の多数のユーザーたちに影響を与える危険性がある」と明らかにした。

台湾在住のジャーナリスト。米国、中国、台湾のニュースを担当。台湾の国立清華大学で材料工学の修士号を取得。