台湾総統選まで残100日 野党一本化で不透明感増す

2023/10/06
更新: 2024/01/11

2024年1月13日の総統・立法院同時選挙を100日後に控えた台湾は、予測不可能な状況が続いている。世論調査で優勢を維持し、無難な勝利が予想されていた民進党頼清徳氏は、政府支持率の低下という暗礁に乗り上げた。 一方、支持率低迷から抜け出せなかった野党は「一本化」を通じて逆転を狙う構図だ。

1月31日に発足した陳建仁行政院長(首相)が率いる民進党政府に対する不満足度は40%を超えた。世論調査機関「台湾民意基金会(TPOF)」が9月18~20日にかけて、20歳以上の成人1077人を対象に行った電話での世論調査において、陳建仁内閣に対する9月の施政満足度は39.7%を記録し、前月比9.1%低下した。一方、9月の不満度は40.4%で前月比3.8%上昇し、はじめて40%台を超えた。

政党支持率調査で、与党民進党の支持率は前月の36.8%から30.3%に低下した。一方、野党第1党の国民党の支持率は17.1%から23.1%に上昇した。第2野党の台湾民衆党の支持率は17.8%から17.1%で横ばいとなった。

台湾民意基金会は「昨年8月の調査以降、1か月でおよそ9%に相当する約170万人の支持者が離脱した」とし、最近の賞味期限表示問題など輸入卵の論争による影響が大きいと分析した。

台湾では鳥インフルエンザが発生し、卵の需給に支障をきたしたため、政府は12か国から卵を輸入することにした。 その過程で、一部の業者が輸入した卵の賞味期限を誤って表示していたことが明らかになった。輸入卵の安全性問題が浮上し、5400万個余りの卵を廃棄することとなった。食品安全問題で世論の風当たりが強くなり、陳吉仲農業部長が辞意を表明した。

台湾民意基金会は「来年1月、総統選挙と立法委員(国会議員)選挙を控えているため、今後の内閣の動向に対する世論の評価が次期大統領選挙の大きな変数になるだろう」と指摘した。

昨年11月、地方選挙敗北の責任を取って民進党主席を辞任した蔡英文総統は、「内閣改造」を通して支持を集め、来年の総統選挙の勝利基盤を築こうとしたが、その戦略に支障をきたすこととなった。また、政権与党である民進党内の危機感も高まっている。

11月20~24日の総統候補の公式登録を前に、台湾民衆党の柯文哲候補が国民党の侯友宜候補と野党一本化を図る機運も高まっており、注目を集めている

9月28日、民間シンクタンクである中華戦略学会が国立台湾大学同窓会館で開催した「2023年教師節(先生の日)慶祝及び理事長追悼記念式」のイベントで、柯文哲候補は「第1野党候補と必ず合流する」と述べた。

この席で、第1野党・国民党と第2野党・民衆党の総統候補の統一に関連する質問に「安心してください。 最終的には必ず合流します」と述べ、「問題はどのように統合するかだ」と付け加えた。

第1野党の国民党の侯友宜候補側も肯定的な反応だ。金溥聰選挙運動執行長も「野党候補の一本化の時期が非常に重要であり、今後1か月が鍵となるだろう」と明らかにした。金溥聰氏は国民党の代表的な戦略家として、馬英九前総統時代に国民党書記長、駐米代表、国家安全保障会議(NSC)秘書長などの要職を歴任した。馬英九前総統が再選に挑戦した2012年には選挙運動の執行長を務め、総統選を勝利に導いた。

金溥聰執行委員長は「今日、国民党と民衆党が互いに友好的な立場を維持しており、物事はスムーズに運ぶだろう」と述べた。さらに「政治は常に変化する。台湾は選挙前の最後の1か月が最も熱い」と強調した。

野党一本化が実現すれば、与党の頼清徳候補に勝つと予想される。台湾メディア「ETtoday」は9月の世論調査で、侯友宜、柯文哲候補がそれぞれ総統と副総統に立候補した場合、侯友宜候補の支持率は41.8%で、支持率36.8%の民進党の頼清徳候補を上回ると報じた。さらに、柯文哲、侯友宜の組み合わせでも柯文哲総統候補が40.2%で、35.3%の頼清徳候補を上回ったと明らかにした。