中国経済をけん引してきた不動産業界に暗雲が立ちこめるなか、深刻な財政難にあえぐ地方政府は、もはや教師や公務員の給料すら十分に支給できなくなっている。
民間企業ならば倒産状態といってよいが、そこは役所や公的機関であるため倒産はしない。しかし、職員への給与未払いが続けば、組織として機能しなくなるという意味での「崩壊」は高い確率で起こり得る。人が無気力になる「躺平(寝そべり)」は、もはや若者だけでなく、中国社会のどの場面に起きてもおかしくない状況だからだ。
何カ月(場合によっては何年)も未払いになっている給料の支給を求める学校の教師。十分な補償もなく、暴力による強制立ち退きを迫られた市民や村民。ある日突然、銀行の預金を凍結された預金者。捏造された「好景気」に乗せられ、金融や不動産投資で大損した市民。そうした「被害者」といってもよい人々による大規模な抗議事件は、中国の全土で後が経たない。
台湾の対中国大陸政策を担う行政院「大陸委員会」によると、2020年に中国で起きた集団抗議事件はなんと「26万件」だという。つまり、一日あたり700件以上の集団抗議が起きている計算だ。
こうした経済の悪化にともない、政府への不満を爆発させた民衆よる抗議事件は、今後さらに増えるだろうと多くのアナリストが分析する。
時事評論家の遇羅文氏は、「中国経済は、すでに崩壊していると言っても過言ではない。財政難のなか、政府は給料の支給ができなくなってきた。そこで、一番いじめやすい教師からその犠牲にした。今後は少しずつ、給料を支給しない対象や範囲を広げていくだろう。しかし、いざ飯を食えなくなれば、中共のどんな洗脳も意味をなさなくなる。本当に追い詰められたら、人々は街に繰り出すだろう」と述べる。
ニューヨークに本部を置く人権NGO「中国婦権」の創設者で時事評論家の張菁氏は、「中国の人民は苦難に慣れている。したがって、人民の貧困は中国共産党の統治に大きな脅威にはならない。しかし、人民の普遍的な『覚醒』は、中国共産党政権の崩壊を加速させる」と指摘した。
時事評論家の唐浩氏は、「災害や疫病により、最近の2カ月間だけでも中国国内では多くの死亡者が出ているが、当局は依然として真実を隠蔽をしている。中共統治下の人民は、もはや誰も政府を信用していない。それは国民だけでなく、共産党内も同様で、互いの信頼はないのだ。党中央は軍部を信用していないし、軍部も党中央を信用していない。このような致命的な信頼関係の危機に加え、経済危機はもちろんのこと、軍が反旗を翻す危機、党内で政変が起きるクーデター危機、民変(人民の反抗)の危機など、中国共産党は様々な危機に直面している」と分析する。
金融専門家で時事オブザーバーの施進氏も、「中国共産党はもはや安定維持のため、公安や警察への莫大な費用を捻出する余裕はない。その結果、独裁的な統治を維持していくことが難しくなっている。中国共産党の崩壊まで、そう遠くはないだろう」と指摘している。
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