高校で集団食中毒 隠蔽のため、生徒の携帯を取り上げる=中国 雲南

2023/09/07
更新: 2023/09/06

先月末、雲南省曲靖市の高校で数十人の生徒が相次ぎ吐き気や腹痛などの症状を訴え、病院に搬送される事件が起きた。集団食中毒とみられる。中国メディア「封面新聞」が報じた。

当日、学校側は体調を崩した生徒の保護者に知らせなかった。さらに、生徒の携帯電話を取り上げて事件の隠蔽をはかっていた疑いも出ており、ネット上では批判が殺到している。

中国メディアは、複数の保護者の話として「8月30日に、学校で出された昼食の鶏もも肉が問題ではないか」と指摘している。生徒によると「鶏肉が変な臭いがした。何口か食べた後で残したが、午後になって嘔吐や腹痛などの症状が現れたため、学校によって病院に送られた」という。

「うちの子供が夜になって、看護師の携帯電話を借りて連絡してきた。それまで私たち保護者には何も知らされなかった。学校側からの連絡は一切ない」。さらに「生徒たちは、携帯電話を没収されていた」と保護者が訴えた。

なかには「事件から2日経ってから、この件を聞いた」という保護者も少なくないという。事件を知った保護者らはSNSのグループチャットのなかで、担任教師に対し「具合が悪くなった子供の人数や診断結果」について尋ねているが、担任からの返信はなかったという。

今回、腹痛などを訴えて病院へ搬送された生徒数について、看護師の携帯を借りて親に連絡した生徒の1人が「40人以上だった」と明かしている。はじめに搬送された病院から、子供を別の病院へ転院させた親によると、転院先の医師から「これは食中毒だ」と告げられたという。

事件後、学校側は生徒の集団食中毒について否定しており、市当局が公表する通報のなかにも「食中毒」については一切触れられていない。

曲靖市当局が今月3日に出した公告は、以下の通り。

「8月30日午後、曲靖二中雲師高級中学の生徒28人に吐き気、腹痛などの症状が現れたため病院に送られた。生徒たちは、翌日の午前には学校に戻り、通常どおり授業を受けている。この件については真剣に対処し、改善する」

9月1日夜、同校の李校長は「風邪で病院に行った生徒は4人だけだ。生徒たちは、その日のうちに学校に戻って授業を受けている」などと述べ、事実と全くかみ合わない主張をしている。

事件が起きた「曲靖二中雲師高級中学」は年間の授業料が27000元(約54万円)する、学費もそこそこの「私立学校」だった。生徒たちは通常、学校の食堂で食事をとる。

事件に関する学校や市当局の対応をめぐり、ネット上では批判が殺到している。

「何か事件が起きると(学校や当局がみせる)第一の反応は、いつも隠蔽と保身だ」

「このような重大事件が起きて、すぐに親に知らせなかったのはあり得ない。ある生徒が看護師の携帯電話を借りて連絡しなければ、この事件は『なかったこと』にされていたんだろうな」

こうした怒りのコメントが、多く寄せられている。

李凌
エポックタイムズ記者。主に中国関連報道を担当。大学では経済学を専攻。カウンセラー育成学校で心理カウンセリングも学んだ。中国の真実の姿を伝えます!
鳥飼聡
二松学舎大院博士課程修了(文学修士)。高校教師などを経て、エポックタイムズ入社。中国の文化、歴史、社会関係の記事を中心に執筆・編集しています。