最近、米テスラ社の車が「中国の高速道路へ入れない」ことがわかり、話題になっている。
2日にネット上に流出した動画のなかで、浙江省杭州市の交通警察がテスラ車を呼び止めて、高速道路への乗り入れを禁じている様子。しかし、テスラ以外の車は、たとえ国産車でなくても通行可能だ。
交通警察はテスラ車を運転するドライバーに対して「ちょっとふざけてるが、協力してほしい」と、よく分からない言い方で、高速道路に入れないことを告げた。
テスラ車に対する「高速乗り入れ禁止令」は、今回が初めてではないこともあり、中国のSNS上でも物議を醸している。「馬鹿げている」「テスラを中国に迎え入れて、販売を許可したのに、なぜ事あるごとにテスラにいちゃもんつけるのか」といった批判が殺到しているのだ。
今回の高速道路「進入禁止」の理由については、実のところ、はっきりしない。
「今月23日から(10月8日まで)開催予定の第19回アジア競技大会と関係があるのではないか」とする指摘もあるが、それにしても、大会開催までまだ時間がある。
テスラ車に画像記録装置がついているから、とも言われるが、通常の高速道路はとくに「敏感エリア」ではないとして「本当の理由は、別のところにあるのではないか」とする推測も広がっている。
今月2日、杭州市の高速道路で、白いテスラ車が「現地の中共高官、ご一行さま」の車列に割り込んで、1台ずつ追い越し、最後に「突破成功!」したことを示す動画がSNSに拡散された。中共高官が乗っているのは、権威の象徴である紅旗(ホンチー)という大型の国産車である。
「もしや、この1件でテスラが中共高官を怒らせたから『高速道路は、テスラ出入り禁止』になったのではないか?」という、かなり本気の議論が、中国のネット上で盛り上がっているようだ。
(「中共高官の車列」を次々と追い抜いていく、白いテスラ車。SNS投稿動画)
米電気自動車(EV)大手テスラ社の車両は、中国でこれまでにも、軍関連施設や中国共産党の重要会議の開催地、習近平国家主席が視察するエリアなど、一部の道路への車両の進入が禁止されてきた。
進入禁止にする理由について、中国当局は毎回、テスラの車両に搭載されたカメラを巡るセキュリティ上の懸念を挙げている。
これに対し、テスラ社は「中国国内にデータセンターを設立しており、中国市場での車両販売で発生する全てのデータは、中国国内に保存されている」と繰り返し反論している。
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