膨らむ債務 繁栄から転落へ 対策打ち出せない中国共産党 (2)

2023/08/21
更新: 2023/08/20

地方政府と不動産セクターは協力している。

平均して、土地債券は地方政府の総収入の30%以上を占め、地価の高い沿岸地方では、その割合が50%に達するところもある。 多額の負債と地価下落のために開発業者が土地を購入しなくなると、地方自治体は債務返済 の困難に直面する。

ボールディング氏によれば、中国共産党にはデベロッパーを救済する資金はなく、消費者がもっと不動産を購入することで問題を解決することを望んでいるという。 しかし、消費者はリスクを認識するようになり、そのためにお金を払おうとはしない。

中共は資金が不足しており、問題を解決するためには消費者の 更なる 不動産の購入を期待しているが、消費者はお金を支払うことをためらっている。

ボールディング氏は、世界で最も負債を抱える不動産開発業者である恒大集団を例に挙げ、問題の深刻さと、中共が不動産セクターを救済する資金を持たない理由を説明した。

恒大2022年の年次報告書によると、短期負債は1兆7千億元(約34兆3千億円)、 手元現金 は130億元(約2551億円)である。

ボールディング氏はこの状況を、銀行に10万ドル(約1450億円)の預金があり、200万ドル(約2億9千万円)のクレジットカードの延滞債務がある人に例えた。 したがって、借金の返済は不可能に思える。

更に 説明すると、世界最大の銀行であるICBC(中国工商銀行)2022年末の資本が4兆3千億元(約81兆2千億円)であり、もしエバーグランデの負債が帳消しになる場合、その額がICBCの資本の約40%に相当し、大きな影響を及ぼすことを示唆している。

上記の例は、ICBCがエバーグランデの総額を知らずに、不動産セクター問題の深刻さを説明するためだが、ICBCは 恒大の主要 な債権者の1つとされている。

国際社会は中共を救済するだろうか、ボールディング氏はそうではないと考えている。

その理由は簡単で、北京が必要とする巨額の資本を持つ銀行は、世界のどこにもないからだ。

中国の銀行システムの総資産約50兆ドル(約7千兆円)に基づくと、20%の資本再構成でも10兆ドル(約1400兆円)が必要で、これは3月にリスク管理の不備で破綻したシリコンバレーの中堅銀行50行を救済するのに相当する、とボールディング氏は述べた。

国際通貨基金(IMF)にもそのような資金はない。

中共と民間企業

ここ数か月間、中国当局は頻繁に新たな政策を打ち出してきたが、具体的な経済刺激策は見当たらない

中央銀行が金利を引き下げた後の7月、中共は再び若者の高い失業率への対処、民間企業の支援、電子機器や自動車の消費促進、不動産ローンの条件延長、教育制度の改善などの政策を発表した。

ボールディング氏はこれらの新政策を「無駄な措置」と呼んだ。

政府が強力な財政刺激策を展開しない理由について、ミルケン研究所の李氏はエポックタイムズに対し、地方政府と中央政府の債務が高いために国債発行による財政資金調達の余地が限られていることを挙げている。

また、財政政策の主な目的は民間企業を強化することだが、過去3年間中共は民間企業を厳しく監視・取り締まってきたため、民間企業は政府に対して不信感を抱いているとも述べている。

フランスの企業・投資銀行ナティクシスのアジア太平洋地域担当であるシニアエコノミスト、ゲーリー・ウン氏は、中国当局は政策の方向転換を示したが、その実行は障害にぶつかっていると述べた。

例として、銀行融資の大半が依然として「安全保障関連企業」や国有企業(SOE)に向けられている。また、最近のビッグテック企業(BIG)の動向を見ると、民間企業への圧力がまだ続いている。

8月11日、中国最大のデベロッパーである カントリーガーデン(碧桂園)は、今年上半期には76億ドル(約1兆640億円)もの損失を出す可能性があることを発表し、更に、2250万ドル(約31億5千円)の国際債券の支払いが滞っていることも確認した。

第1四半期において、中国の民間部門が受けた融資は、商業融資全体の15%に満たなかった。また、2022年7月の最新データによれば、新規の商業融資はほぼ3年ぶりの低水準になった。

共産主義はいずれも崩壊へ

共産主義政権と民間企業は根本的に対立しているから、ボールディング氏は「民間企業を促進するときは共産主義を放棄している」と述べた。

結局のところ、中共が中国経済のすべてを掌握していることは変わらず、国の経済と財政の良い管理者であると国民に伝えることで、その正当性を確立している。

中共はハードランディングの事を防ぐためにあらゆる手を尽くすだろうが、資源も手段も限られ、いずれ崩壊するだろう。

中国の状況は、不動産バブルと 高齢化 という、1980年代後半の日本と似ており 人口動態と投機バブル崩壊の結果、中国は経済停滞期に直面するだろう。