3歳女児への性犯罪と傷害 地元公安は立件せず、被害者家族を住居前で監視=中国 江蘇

2023/07/26
更新: 2023/07/26

江蘇省無錫市で、児童への性犯罪をふくむ暴行傷害事件が起きた。

しかし、公安当局はこれを立件しようとせず、被害者家族に「事件はなかった」と強引に認めさせようとした。さらには、被害者家族を北京へ陳情に行かせないため、被害者の住居前に要員を座らせて24時間監視を行っていたことがわかった。

「なかったことにしろ」加害者側に立つ警察

無錫市に住む潘さん(30歲)は、今年3歳になる娘を育てるシングルマザーである。過去数カ月間、性的被害を受けた娘のために、正義の実現を求めネットを通じて訴えてきた。

潘さんによると、今年3月、彼女の3歳になる娘が地元のケーキ店の店主で湯(とう)という男(39歲)から性暴力の被害を受けた。

女児の母親である潘さんは何度も地元の公安当局に訴えたものの、4カ月経っても立件されなかった。しかも、潘さんの家の前には当局の回し者と思われる男が居座り、常時監視されたという。

女児は、潘さんの視界から離れて子供同士で遊んでいたところ、加害者の店主によって店内へ連れ込まれ、性的暴行を受けたという。1週間ほどにわたり、女児は何度も店主によって暴行を受けた。わいせつ行為のほか、顔面を平手打ちされたり、口の中に靴下を突っ込まれるなどの凶行であった。

その結果、女児は心身ともに深く傷つけられた。とくに下半身は炎症を起こし、肛門には裂傷を負った(医師の診断書あり)。事件発覚後、母親は何度も地元の公安当局(警察)に連絡したが、警察側はさまざまな理由をつけてなかなか立件しようとせず、「女児は運動時に怪我をした」ということにして、潘さんにそれを認めさせようとしたという。

潘さんは、SNSを通じて「娘を北京の病院へ連れて行き、診てもらう」と明かす動画を公開した。

その後、北京行きの切符を買った日の夜から、潘さんの家の前には、夜通しで監視を行う人員が現れたという。汽車の切符を購入した際に、潘さんの個人情報が当局に流れた可能性がある。

「北京への陳情を阻止」自宅の前に現れた監視員

監視者はマスクをした男で、わざわざ持参したと思われる「プラスチックの椅子」に座り、一晩中見張っている。潘さんによると、この男は「(潘さんが)娘の治療を口実にして北京へ行き、事件のことを中央に陳情するだろう」と恐れた地元当局が、それを阻止するために派遣した要員だという。

ネット上には、女児に性的暴力を加えたケーキ店の店主は、地元の公安役人の親戚だという未確認情報も流れている。

画像左は潘さんの事件に関する投稿。画像右は、持参したプラスチックの椅子に座り、潘さんの家の前で監視する男。当局の回し者と思われる。

地元公安は、とにかくこの件を必死で封じ込めようとしている。しかし、数か月にわたる母親の信念の堅持が実を結び、この事件はようやく世論の注目を集めるようになった。

3歳という幼い子供への性犯罪および地元公安の明らかな加害者寄りの行動に、ネット上で批判の声が広がった。

事件の真相究明を求めるネット世論の怒涛の圧力のなか、今月11日、地元である無錫市の公安は、事件に関する次のような声明を出した。

「ケーキ店内の監視カメラ映像の一部欠落は、システムの原因であり、故意による編集や削除ではない。この件に関して、違法行為はなかった」

つまり、犯行が映された可能性のある「店内映像の欠落」は隠蔽ではなく、違法行為(性犯罪と傷害)はなかった、と公安当局が認定したというのだ。

公安の声明を支持する「作られた世論」

この通達が出された後、ネット上にあふれていた事件関連の情報はすぐさま封殺に遭い、代わりに中国SNSウェイボー(微博)上には「公安の公式声明を支持する書き込み」が大量に現れた。

それでもなお、公安の行動に疑問を呈する声は消えていない。しかし、そういった「不都合な声」は、すぐさま当局の世論操作の手先である「網軍」の大量なコメントによってかき消された。

忘れてならないのは、わずか3歳の女児が卑劣な犯罪の被害者になり、心と体に深い傷を負った事実である。

加えて、地元公安の不作為。北京へ陳情に行かせまいとする地元当局による不当な圧力。ようやくネット世論の注目を得ることに成功したものの、たちまち検閲されるという一連の不条理は、一体どういうことか。被害を受けた側が、なぜ声を上げることすら許されないのか。

もしも、被害を受けた側が権力者の親類縁者であれば、公安は全く違った対応をとっただろう。つまり現体制の中国では、権力やお金がなければ、どんなに不公正な扱いを受けても庶民は泣き寝入りするしかないのだ。

被害者にとって最後の手段は、ネット世論に訴えることである。しかし、そのネット上にも「五毛党」「水軍」「網軍」など体制側の走狗となる者が無数にいて、真実を暴露する「不都合な声」を総がかりで隠蔽しようとする。

すでに「死に体」になった国家

しかし、公安や警察からして「不正義の典型」となっている今の中国は、すでに国家として「死に体」になっていると言うしかない。

その「死に体」になっているはずの国が、なぜ今になっても命脈を保っているのか。

この逆説的な問いの答えは、ただ一つ。中国共産党という腐敗と暴力を「常態」とする政党が、74年間にわたり政権を奪っているからである。言うまでもないが、中共が中国人民に支持されているのではない。

ゆえに、中共を分離して排除し、その残毒を完全に洗い流すことによって「もとの中国」に戻ること(戻すこと)が、必須かつ喫緊の課題なのだ。

3歳の女児に性的暴行を加えた卑劣な犯人を、断じて容認してはならない。それと同等の明確さをもって、豊かな文化と歴史をもつ伝統中国に外国から侵入し、これを犯して国の根本を狂わせた中国共産党を、今すぐに断ち切らなければならないのである。

中共によって血塗られた負の歴史を清算するべき時は、今しかない。この機会を逸せば、近い将来に滅びる中共と運命をともにすることになり、それは完全な壊滅を意味するからだ。この点を理解しやすくするために、仮の話として、そこに大いなる天罰や仏罰を想定してもよい。

それは中国人自身の問題であるとともに、日本と日本人が根本的に再考するべき中国観でもある。

中国共産党に関して、日本はいかなる支持も、容認も、是認も、黙認もしてはならない。日本は、中国の隣国ではあるが、中国共産党の隣国ではない。言葉を換えて言うならば、日本は、中共やその配下の公安と同じ「悪の側」に立ってはならないということだ。

李凌
エポックタイムズ記者。主に中国関連報道を担当。大学では経済学を専攻。カウンセラー育成学校で心理カウンセリングも学んだ。中国の真実の姿を伝えます!
鳥飼聡
二松学舎大院博士課程修了(文学修士)。高校教師などを経て、エポックタイムズ入社。中国の文化、歴史、社会関係の記事を中心に執筆・編集しています。