我が子を縄でつなぐ「世界一安全な国」 大量失踪の裏に、中共の暗黙の了解あり

2023/06/27
更新: 2023/06/27

何を根拠にそう言うかは不明だが、中国当局は、自国を「世界一安全な国」と自慢している。

これに対し、SNS上には「子供を縄でつながないと安心できない、世界一安全な国」と題される動画が拡散されている。動画のなかで、すっかり腰の曲がった高齢の女性が、幼い子供の足に縄のようなものをつけ、病院へ向かって歩いている。

動画の字幕によると「この子の両親は他界した。祖父母が子供と生活している。病院にいく老人は、縄で子供(孫)をつないでいる」という。

(子供をさらわれないよう、その足に縄を付けて歩く老人)

 

子供(孫)が迷子になることが心配ならば、日本では子供の手をつなげば済むことだろう。なぜ中国のこのご老人は、子供に「縄」なのか。

その理由は、白昼でも子供をさらう「人身売買」や「臓器収奪」が中国で横行しているためだ。

もちろん、親や祖父母が付き添っていても、力づくで子供をさらっていく人身売買業者は実際にいる。その場合、縄など簡単に切られてしまうのだが、それでも子供に「縄」をつけずにはいられないほど切実な危機感があるのだ。

同じ理由で、下の動画のように、働く親が我が子の足や体に縄をつけるケースもある。

(我が子をさらわれないよう、その体に縄を付けて商売する露天商の女性)

 

安全な国どころか「中国は失踪大国」

調査ジャーナリストの趙蘭健氏は今月、高く積み上げられた尋ね人広告の動画を添付して、「この1枚1枚が、全て一人の命だ。いったい中国では、どれほど多くの人が失踪したのだろうか」と嘆いた。

 

趙氏は同投稿で、自身がかつて「鉄の鎖の女性」事件で被害者の女性の身元を調査するために、中国当局が主張する女性の故郷とされる雲南省の村を訪問した時のことについても言及した。趙氏は、次のように言う。

「(その村では)129世帯のうち3世帯で失踪者がいた。しかし、そのデータは現地公安によって隠蔽されている。(現地の公安は)それについて詮索すれば、あなたは法を犯したことになる、と言った」

この「鉄の鎖の女性」事件とは、江蘇省の農村で昨年2月、少女の頃に拉致され人身売買されてきたと見られる中年女性が発見された事件である。

ボランティアの人権団体に発見された当時、女性は首に鎖が巻かれた状態で、氷点下に冷え込んだ離れの小屋に監禁されていた。

女性は、8人(またはそれ以上)の子供を「生まされた」だけでなく、夫の了解または黙認のうえで、地元政府の複数の役人に凌辱されたと見られている。

中国は、まだ名目上は「一人っ子政策」が続いていた。そこで多産を役所に見逃してもらうため、金銭の代わりに「役人へ妻を貸した」可能性が高い。女性は、そうした想像を絶する虐待のなかで精神に異常をきたしてしまった。

この調査の後、趙蘭健氏は中国当局に拷問され、国を追われ米国へ亡命した。

大量失踪の背景にある「中共の暗黙の了解」

監視大国といわれるほど防犯カメラで埋め尽くされた中国で、なぜこれほど多くの失踪者が出て、しかも全く見つからないのか。

中国問題の専門家で、エポックタイムズのコラムニストでもある米作家のゴードン・チャン章家敦/Gordon Chang)氏が、その答えを示している。同氏はかつて大紀元への寄稿文のなかで、次のように述べた。

「中国は、世界で最も厳しく民衆を監視している国である。中国には、住民2人に1台の割合に相当する7億台以上の監視カメラがある。国内で起きていることは、全て共産党に把握されている」

「したがって、中国国内で大規模かつ組織的な犯罪集団が活動を続けているのならば、それは中国共産党の暗黙の了解を得ている、ということだ」

そう指摘するゴードン・チャン氏は「中国共産党は、最も危険な国際犯罪組織である」と警鐘を鳴らした。

 

(失踪した「我が子」の看板を手に持ち、泣きながら跪いて、通行人に情報を求める母親たち。監視大国の中国で、なぜこの子供たちが見つからないのか。「それは中国共産党の暗黙の了解を得ているからだ」とゴードン・チャン氏は指摘する)

李凌
エポックタイムズ記者。主に中国関連報道を担当。大学では経済学を専攻。カウンセラー育成学校で心理カウンセリングも学んだ。中国の真実の姿を伝えます!
鳥飼聡
二松学舎大院博士課程修了(文学修士)。高校教師などを経て、エポックタイムズ入社。中国の文化、歴史、社会関係の記事を中心に執筆・編集しています。