米国「ウォーク(Woke)」企業が直面する静かなる革命(1) LGBT支援企業に湧き上がる不買運動

2023/06/18
更新: 2023/07/18

米国の保守派は、企業の「ウォーク(Woke)」イデオロギーに対抗するための急所を見つけたと思われる。「これは人々が注目していることは明らかだと思う」

保守派によれば、ターゲット(小売大手)やアンハイザー・ブッシュ(ビール製造会社)のような「ウォーク(Woke)」した企業に対する消費者のボイコットは、米国の企業における人種、性別、環境への関心活動の逆転につながる鍵となっている。

なぜなら、左派の政策を推進する企業を避ける顧客が、保守派グループに法的に対抗するために必要な勢いを与えている。

スコット・シェパード氏は、国立公共政策研究所(NCPPR)のメンバーであり、同センターのフリーエンタープライズ(自由企業)プロジェクトのディレクターを務めている。フリーエンタープライズ・プロジェクトは、保守派の株主活動グループであり、自由企業原則の推進に取り組んでいる。

シェパード氏はエポックタイムズに、「環境・社会・ガバナンス(ESG)」に対して潮目が変わりつつあると語った。

「今回、私たちは非常に異なるものを見ている。なぜなら、この種のことに常に関心を持つ保守派だけでなく、国全体がそうだからだ」

ガイドラインとして始まったESGは、今や物議を醸す「ポリティカル・コレクトネス」のイデオロギーに対する強引な義務付けに変わってしまったと、彼は述べた。

潜在的な株主に対する信託責任違反によって、企業はシェパード氏の組織が始めたような法的措置を講じられる可能性がある。

企業は何十億ドルもの損失を出しているにもかかわらず、株主の不利益になるようなコンセプトを受け入れ続けている、とシェパード氏は指摘。

小売大手企業のターゲットは「プライド月間」の商品として、赤ちゃん用のレインボーカラーのワンピや、自己を女性として認識する男性向けの「タック(下着の整え方)に適した」水着などを店頭に陳列し、非難を浴びた。

同様に、アンハイザー・ブッシュ(ビール製造会社)は、トランスジェンダー活動家のディラン・マルバニー氏にバドライト(ビール名)の缶を提供し、それがソーシャルメディアで拡散されたことから、消費者によるボイコットの対象となった。

ターゲットとアンハイザー・ブッシュは、ボイコットが激化する中、声明を出した。しかし、彼らは謝罪することなく、消費者が離れていく中、トランスジェンダーおよびLGBTを支持し続けた。ターゲットの戦略は、顧客からの脅威を理由に店頭から一部のより「物議を醸す」アイテムを撤去し、LGBTアイテムを店内の奥に移動させたことを、顧客からの脅迫のせいにすることだった。

テネシー州のターゲット店の従業員の一部は、虹の旗の服を着ている。6月13日に、従業員たちはボイコットが売上に与える影響について、さまざまな意見を述べた。

「日曜日と月曜日は以前ほど忙しくはない。ここで長く働いていれば、それは明らかだ。ここ数週間はスローペースだった」と、1人の従業員は語った。

「何とも言えないね。日頃の行いが違うのだ」と、別の従業員は述べた。

アンハイザー・ブッシュは、マルバニー氏との提携の直後に、国を縦断するクライスデールという馬を描いた親米広告を発表した。

「私たちは、人々を分断するような議論に参加するつもりはありませんでした。私たちは、ビールを飲みながら人々を結びつけるビジネスをしているのです」とCEOのブレンダン・ウィットワース氏は語っている。

ターゲットとアンハイザー・ブッシュがLGBTQ+の権利を啓発するイベントが行われる「プライド月間」を継続的に支援しているほか、シティグループ、Bank of America、シスコ、HP、Pfizerなどのビジネス界の巨頭が、ソーシャルメディアのアイコンを「プライド月間」をテーマにしたロゴに変更した。

ダラス・マーベリックスのオーナーであり、番組「シャークタンク」のスターでもある億万長者のマーク・キューバン氏は、11日に「ウォーク(Woke)」は「ビジネスにとって良いこと」とまで述べた。

 

ボイコットは「ウォーク(Woke)した」企業の急所

株主代表訴訟がESGを阻止する鍵になる可能性があり、長引く消費者バイコット(抗議などを示すために、特定の品物を買わないようにする運動)は「ウォーク(Woke)」した企業に大きな損失を与えることでそれを可能にしていると、シェパード氏は指している。

6月6日、子供を対象としたプライド月間の商品販売に対する抗議の中で、ターゲットの企業の帳簿や記録を要求している。

この法律事務所は、シェパード氏が所属するNCPPRの代表を務めている。ニュースリリースによると、トランプ前大統領の顧問、スティーブン・ミラー氏が率いるAFLは、ターゲットの経営陣を「過激なLGBTの政治的アジェンダによって、2023年5月中旬以降、企業の市場評価額が120億ドル以上下がった」と批判した。

ボイコットの結果、これらの企業の時価総額が減少し、株式市場での価値が低下した。

ターゲットの時価総額は5月1日から6月10日の間に725億2千万ドルから586億1千万ドルに下落し、ウォール街では2度格下げされた。

アンハイザー・ブッシュの時価総額は、4月3日から6月2日の間に1320億6千万ドルから1089億6千万ドルへと減少し、ウォール街で格下げになる。

AFLの弁護士によると、同団体のクライアントが、ターゲットが顧客層の大部分を家族から構成されていると認めているため、LGBT関連商品の販売によって生じる可能性のある財務リスクについて懸念を抱いている。

AFLは声明で、「この株主への劇的で突然の損失は、経営陣が極左の『利害関係者』を喜ばせるために計算された努力の直接的かつ予測可能な結果である。そのほとんどがターゲットで買い物をしない人々であり、企業の中核である顧客に対する軽蔑の証拠である」と述べている。

シェパード氏は、株価の下落は、「ウォーク(Woke)」した企業の役員や幹部が、株主よりもイデオロギーを重視していることを示すものだと指摘した。「人々が注目していることが明らかになったと思う」。

もしCEOや企業の取締役会が、ウォークへ進むことは会社の財政を悪化させないと「ごまかし続ける」なら、シェパード氏は彼らが個人的に訴えられる可能性が高いと考えている。

彼は、経営者が 「客観的で中立的な企業経営のルールではなく、自分の個人的な好みに応じて会社を経営する 」ことによって、株主に負担をかけた金額をポケットから返済することを余儀なくされると予測している。

 

 

エポックタイムズ記者。米国報道を担当。