「城管」の暴力に市民の怒りが爆発 膨れ上がった群衆、警察もたじろぐばかり=中国・四川

2023/06/15
更新: 2023/06/14

四川省内江市で13日、現地時間の夜8時ころ、同市の「城管」が卵売りの露天商に暴力を振るったことが発端となり、怒った民衆が一気に集まって当該の「城管」を取り囲む非常事態となった。

「城管の暴力」に民衆ついに爆発

「城管(城市管理)」とは、主として無許可での路上販売を取り締まる公的な管理者である。しかし、その暴力的なふるまいから市民の反感や恨みを買うことも多い。

今回の事件は、そうした「城管」に対して、市民が日頃から抱いていた怒りに火が着き、一気に爆発した結果とも言える。

ネット上に投稿された複数の動画からもわかるように、現場には、多くのパトカーや武装車両が派遣されている。警察官らしき要員も治安維持のために出動したが、あたり一帯を埋め尽くす群衆の勢いに飲み込まれている様子だ。

ついには、内江市のトップ(市長ではなく党書記)や公安局長まで現場にかけつけ、マイクで市民に呼びかけて、事態の収拾に努めるまでになった。

はじめに暴力を振るった元凶である「城管」は、警察に手錠をかけられて連行された。

警察に連行される途中、それでもなお怒りが収まらない市民がその手錠つきの「城管」を取り囲み、寄ってたかって「お返し」をするという一幕まであったようだ。

膨れ上がった群衆に、たじろぐ役人たち

中国国内の情報を発信する、著名なツイッターアカウント「李老师不是你老师(李先生はあなたの先生ではない)」が同日、複数の現場動画を公開した。

 

 

「李先生」によると、現場にいた市民は、周辺の集合住宅から騒ぎを聞いて駆けつけて来た人も多いという。

別の動画では、ボンネットに「城管」と書かれた公用車両を、市民が囲んで力いっぱい揺するシーンもみられた。

これらは「城管」に対する日頃の市民の怒りが、相当なものであることを物語っている。そうした市民の「怒り」は、今回の一事だけでなく、長年かけて蓄積されてきたものに違いない。

ほかにも、「夜9時ごろ、同市の書記(トップ)や公安局長が現場にかけつけた」「警察が市民を殴った城管に手錠をかけて連行した」「その途中、城管は怒った市民に囲まれて殴られた」などを伝える動画もある。

実際のところ、動画の画面は人だらけで、群衆のなかで何が起きているかは判断しにくいが、現場がひどく混乱していることは間違いない。

別のツイッターユーザーによる複数の投稿動画では、現場の状況を伝える撮影者が「いいぞ、いいぞ。造反だ、造反だ!」などと興奮気味に叫ぶ声も収録されている。(動画はこちら

「庶民いじめ」にしか見えない暴力

中国の街角には、自家で育てた野菜や果物、ニワトリや卵などを担いで売りに来る農民や、生計を立てるために小さな商売をする露天商がいる。

そうした人たちが、城管の暴力的な「公務執行」に遭うばかりか、それが原因で死亡する事件まで、中国各地で昔からしばしば起きており、ニュースにもなっている。

無許可の路上販売をしないよう指導するにしても、もう少し穏便な方法はないものかと誰もが思う。しかし「城管」のやることは、あまりにも暴力的であり「庶民いじめ」にしか見えない。

SNS上には、そのような「城管」による、残酷な「公務執行現場」を捉えた動画が数多く拡散されている。

それらは、複数の城管による集団暴行シーンや、城管によって路上にぶちまかれ、踏みつけられた商品を泣きながら拾い集める女性。没収されようとする売り物を返してもらおうと、城管の腰に泣いてしがみつく老婆など、正視できないほど心が痛む光景ばかりだ。

そのため、露天商ではない一般市民もふくめて、以前から「城管」に対するイメージは最悪になっている。

その証拠に、SNS上で「どこそこの城管が、市民に報復された」「城管が交通事故に遭った」「城管の車が河に落ちた」といった投稿がなされるたび、コメント欄には決まって大歓声があがる。

そこには「ついに天罰が当たった」「(ケガをしても)絶対119番通報してやらないぞ」「ざまーみろ」といったコメントがあふれるのだが、今回の内江市の騒動にしても、集まった群衆は、全員が「反城管」であることは間違いない。

体制転覆の「火種」を恐れる中共

もちろん個別的な「城管」の資質の問題もあるが、そもそもそんなゴロツキ同然の、暴力集団の代名詞にもなっているものたちを「公務」に就かせている政治体制に対して、市民の不満はもはや限界に近くなっていると言ってよい。

英語に「It is the last straw that breaks the camel’s back」という諺(ことわざ)がある。「ラクダの背骨を折るのは最後の藁だ」という意味である。

軽いワラ1本であっても、その1本で荷重に耐えられる限界を超えた時、ラクダの頑強な背骨も折れる、というのだ。

民衆の不満が積もりに積もって限界を超えたとき、その火種は、中国全土を巻き込む「造反」のきっかけにもなる。

中国共産党は今、それによって引き起こされる革命を心底恐れている。

李凌
エポックタイムズ記者。主に中国関連報道を担当。大学では経済学を専攻。カウンセラー育成学校で心理カウンセリングも学んだ。中国の真実の姿を伝えます!
鳥飼聡
二松学舎大院博士課程修了(文学修士)。高校教師などを経て、エポックタイムズ入社。中国の文化、歴史、社会関係の記事を中心に執筆・編集しています。
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