政府は16日、物価問題に関する関係閣僚会議を開催し、大手電力7社が申請していた電力料金の値上げを了承した。料金の見直しは6月の使用分から始まり、地域に応じて14〜42%の値上げとなる。原発再稼働を進める関西電力・九州電力は据え置きとなった。
家庭向けの契約が多い「規制料金」の値上げを申請したのは、北海道電力、東北電力、東京電力、北陸電力、中国電力、四国電力、沖縄電力の7社。火力発電に使う天然ガスなどの価格がウクライナ侵攻に伴い高騰しているとして、国に申請した。
経済産業省によると、当初の値上げ率は28〜48%だったが、原価の再算定や固定費削減による経営効率化などを行うことで、14〜42%に圧縮することができた。
西村康稔経済産業相は閣議後会見で、「前例にとらわれず極めて厳格な査定を行った」と述べた。
松野官房長官は同日の記者会見で「厳格な査定が行われ、査定後の標準的な家庭における電気料金の値上げ率は14%から42%まで圧縮されたと承知している」と述べた。さらに、「電気料金の激変緩和策等を加味すると7社中5社が値上げ申請前よりも低い水準になっている」と指摘した。
いっぽう、西村大臣によると、原発の再稼働が進む関西電力と九州電力は料金改定を行わず、「他の電力会社の電気料金よりも大幅に低い水準である」という。
西村氏は、2023年度の再エネ賦課金(FIT)の低下や燃料費調整額、電気料金の激変緩和策などを加味して試算した場合、北陸電力と沖縄電力を除く5社は値上げ申請前よりも低い料金水準になると指摘した。
2社のうち沖縄電力は県が独自に電気料金の負担軽減のため、国の支援分を含めて総計104億円の予算を措置している。この活用によってさらなる値下げ効果を期待するとした。
西村氏はまた、国際エネルギー機関(IEA)は今年の冬のガス需給に懸念を示していることに言及し、ロシア・ウクライナ情勢を見ながら適切に対処する考えを示した。
電力業界で顧客情報の不正閲覧やカルテルといった不祥事が発生したことについて、西村氏は「消費者庁の指摘もなされ、フォローアップの中で対応をしていきたい」とし、「競争の下で適切な価格形成がなされていくように取り組んでいきたい」と述べた。
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