「プーさん」にパンチ 台湾空軍パイロット着用のワッペン大人気

2023/04/13
更新: 2023/04/13

中国の軍事演習に警戒感を示し続ける台湾は、この緊張感を抽象的な「ゆるさ」に投影した。人気が高まっているのは、台湾兵士を模した黒クマがディズニーのキャラクター「ウィニー・ザ・プー」に似せた黄色いクマをパンチするワッペンだ。

きっかけは台湾の軍事通信社がツイッターで公開した写真。戦闘機の点検に臨む台湾軍パイロットがこのワッペンを腕章としてつけていたのをオンラインユーザたちが話題にした。同社が「台湾空軍IDF戦闘機連隊の新たな腕章『黒熊がウィニーを打つ』」とコメントすると、台湾米国代表部も転載し「これは売れ筋商品になる」と述べた。

台湾では、固有種タイワンツキノワグマという黒クマをモチーフにしたキャラクターが地方自治体や民間で好んで選ばれている。いっぽう、プーさんはしばしば中国習近平主席の容姿になぞらえることがある。

黒クマをあしらう2種類のワッペンには「緊急発信」「7日間24時間稼働」「自由のための戦い」との主張が縫い付けられている。別のデザインには、台湾の戦闘機パイロットがパンダを叩く姿を示している。ひとつ200台湾ドル(約800円)だ。

桃園市にある製造元Wings Fan Goodsに展示されたワッペン。パンダの頬を叩く台湾軍パイロットが縫われている (Photo by SAM YEH/AFP via Getty Images)

製造元は桃園市にあるWings Fan Goodsで、すでに完売した。このデザインを手掛けたAlec Hsu氏はロイター通信に対し、軍事通信社のツイートののち注文が急増したと語った。

台湾空軍はロイター通信に対し、このワッペンをつけることを特別に奨励はしておらず、制服の一部でもないと説明した。しかし、士気を高めるものに対しては「オープンな態度」を維持すると付け加えた。

中国軍は10日まで台湾海峡とその周辺で3日間の軍事演習を行った。これには台湾の海上航路を「封鎖」し、攻撃シミュレーションを実施する内容も含んでいたとされる。

演習は、台湾の蔡英文総統が訪米の際、ケビン・マッカーシー下院議長と会談したことに対する反発とみれられている。米国は中国共産党に緊張を高める行動を自制するよう求めた。台湾国防部は戦闘準備を強化し続ける意志を表明した。

日本の安全保障、外交、中国の浸透工作について執筆しています。共著書に『中国臓器移植の真実』(集広舎)。