[ヒューストン 9日 ロイター] – ヒューストンで今週開催されたエネルギー業界の国際会議「CERAウィーク」では、米政府の高官が脱炭素化の加速を呼びかける一方、再生可能エネルギーのサプライチェーン(供給網)を中国に支配させるべきではないと警告した。
米政府が推奨する脱炭素化投資が、中国の影響力増大という形で裏目に出かねない、との懸念が高まる中での発言。多くの業界幹部は米高官に同調しつつも、米国は中国との貿易戦争を誘発することなく国内の供給を確保する方法を見つける必要があると訴えた。中国は電気自動車(EV)や太陽光パネルなどに使われる重要な鉱物や部品で支配的な供給国となっている。
ジョン・ポデスタ米大統領上級顧問(クリーンエネルギー問題担当)は、中国がクリーンエネルギーの技術に関連した重要な鉱物で、あまりにも大きな影響力を持っているのは明らかだと指摘。そうした状況を放置したのは「間違っていた」と語り、世界が低炭素経済へ移行する中で「われわれはサプライチェーンを確保する必要がある」と述べた。
米政府の国際エネルギー問題担当特使を務めるアモス・ホッホシュタイン氏は、米国は「20世紀の化石燃料業界からの教訓を学ぶ」必要があると指摘。国内で十分な生産を確保するとともにサプライチェーンが問題なく機能することを確かめる必要があると話した。
だがエネルギー業界幹部からは、米政府が貿易の流れを妨げず、中国との友好的な関係を維持した方が、クリーンエネルギーへの移行は円滑に進むとの声も聞かれた。
水素燃料電池会社プラグ・パワーのアンディ・マーシュ最高経営責任者(CEO)は「米国が中国と話し合う方法を見つけられない事態を強く心配している」と発言。世界の将来にとって二酸化炭素の削減は非常に重要であるため、気候変動を巡り「少なくとも、共に話し合えるようにしておく必要がある」と語った。
鉱業大手フリーポート・マクモランのリチャード・アドカーソンCEOは、鋼業業界では中国との関係緊迫化は長期プロジェクトへの投資を妨げる恐れがあると指摘。「仮に米中間の本格的な貿易戦争になれば、世界経済に幅広く影響する」と述べた。
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