米国のマイケル・ベネット上院議員(民主党)は2日、国家安全保障上の懸念からアップルとグーグルに中国動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」をアプリストアから削除するよう要請した。共和・民主両党は、中国による監視手段だとする懸念からTikTokを排除する動きを強めている。
ベネット氏は両社の最高経営責任者(CEO)に宛てた書簡のなかで「中国共産党の支配下にある企業に、米国民の生体情報を含む広範囲なデータを収集させたり、米国民にコンテンツを提供したりする権限を与えるべきではない」と訴えた。
米国におけるTikTokの月間アクティブユーザーは1億に上る。概算で全人口の36%、13歳から34歳までの人口の6割がTikTokを使用している。また、1日の平均利用時間は80分以上で、これはフェイスブックやインスタグラムを合わせた時間よりも長い。
ベネット氏は、特に中国が制定している国家情報法に懸念を示した。中国企業は要請に応じて当局にデータを提供することを義務付けられていることから「中国共産党はTikTokを武器に米国を攻撃する可能性がある」と指摘した。
中国の「スパイ装置」とされるTikTokの排除に、共和・民主両党は足並みを揃える。昨年12月にも民主党のディック・ダービン上院議員が国家安全保障の懸念から国民に同アプリの使用をやめるよう促した。また民主党の知事が率いる州を含む20以上の州では、州調達のデバイスでTikTokを使用することを禁じる行政命令が出されている。
2020年、当時のトランプ大統領は、TikTokの新規ダウンロードを禁じ、米国内でのTikTokの利用を事実上阻止しようとしたが、裁判所にはね返された経緯がある。
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