防衛力強化は安定財源必要、財政健全化と両立を=諮問会議で民間議員

2022/11/02
更新: 2022/11/02

[東京 2日 ロイター] – 政府は2日、経済財政諮問会議を開き、防衛力と経済基盤の一体的な強化に向けた防衛政策の方向性を議論した。会議には浜田靖一防衛相が臨時議員として初参加。民間議員らは、財政健全化との両立や安定財源の確保、他省庁予算との連携、軍民両用技術の開発促進などを提言した。

民間議員らの提言は、防衛力強化と中長期的な財政健全化の両立を目指すもの。防衛力の維持強化には一定の支出を保つ必要があることから、賢い支出(ワイズスペンディング)を徹底した上で、「安定財源の確保が必要」とした。

検討に当たっては、防衛費の性格上「国民全体で能力に応じて広く負担すべきもの」であることを踏まえつつ、投資や所得の向上を含む経済状況などにも配慮が必要とした。

防衛装備品の海外移転ついては、同盟国・友好国との安全保障上の協力関係を強化するとともに、防衛産業の育成に資するとした。海外移転を促進し、経済安全保障基盤の強化に向けて、日本の産業が海外市場で稼ぐ力を高めるべきだと提唱した。

研究開発やインフラの分野では、軍民両用の拡大を提言。有事に自衛隊などが使う可能性のある民間空港や港湾の整備など、日本の防衛力向上に必要な取り組みを省庁横断的に精査し、一体的に取り扱うよう強調した。

岸田文雄首相は会議終了前にあいさつし、防衛力強化の方向性を示すことで民間の予見可能性を高める、と説明。新規参入を促して、日本の防衛産業の基盤を強化していくと語った。

首相は、浜田防衛相など関係閣僚に対し、必要な防衛力の内容の検討、予算規模の把握、財源の確保を一体的に進めるよう指示した。

<成長に向けた改革加速を>

政府が前週末に総合経済対策を公表したことを受け、民間議員から改革加速への提言もあった。過去の対策は経済の下支えに一定の効果を発揮してきたものの、「供給面に働きかけて成長力を引き上げる効果は限定的だった」と明言。

賃上げ、労働移動の円滑化、人への投資の一体的な改革に加え、科学技術・イノベーション、グリーントランスフォーメーション(GX)、デジタルトランスフォーメーション(DX)の実行が重要だと強調した。

現状維持志向を改め、成長志向のスタートアップ支援、投資、賃上げを促進するため「守りから攻めへの規制・制度改革など構造改革を進めるべきとも提言した。

(竹本能文、杉山健太郎 編集:石田仁志)

Reuters