米空軍大学の中国航空航天研究所(China Aerospace Studies Institute)は24日、「中国ロケット軍の編成」と題する長編報告書を発表した。各基地の所在地、人員、後方支援、軍幹部などロケット軍の全容を公開した。台湾海峡の危機が高まる中、武力行使を放棄しないと明言した習近平主席を牽制する意図があるとみられる。
中国のロケット軍は、弾道ミサイルや地上発射型の長距離巡航ミサイルを運用する独立した軍種。各種弾道ミサイルを配備し、日本や台湾、米国までをその射程範囲に収めている。2016年に改称されるまで「第二砲兵」として知られていた。
255ページに及ぶ同報告書はロケット軍を文字通り「まる裸」にした。各基地の位置情報や指揮官の名簿、配備されたミサイルの種類、炊事班の場所など基地内の情報を細かく記述した。
報告書によると、中国のロケット軍には第61~69基地までの9つの基地がある。第67〜69の3基地は貯蔵、技術、試験・訓練に使われ、作戦に使用されるのは第61〜66基地までの6基地だ。
たとえば第61基地の場合、本部は安徽省黃山市屯溪區陽湖鎮紅星路40番に設置されており、座標位置は29.695635、118.300243402となっている。訓練団、通信団、作戦保障団、総合保障団、技術勤務旅団、装備検査団、ドローン団と96601軍医院など8つの部隊が駐屯している。
各基地は、個々の任務と戦略的必要性に応じて、核戦力と通常兵力の構成にも特徴があるという。
第61基地は主に台湾向けの短距離通常ミサイル旅団で構成され、甘粛省蘭州の第64基地や河南省洛陽の第66基地のような内陸部の基地は、主に長距離の核戦力で構成されている。
現・旧幹部のそれぞれの役職と業務内容も記されている。
報告書の公表は、台湾統一を狙う中国を抑止することが念頭にあるとみられる。習近平主席は16日、共産党第20回党大会の開幕式で、台湾統一のためには武力行使を放棄しないと明言した。
今回の党大会では中央軍事委員会の人事刷新が行われ、台湾方面を管轄する東部戦区の司令官だった何衛東氏が委員会の副主席として起用された。同氏は8月に行われた台湾を包囲する大規模な軍事演習の陣頭指揮を執ったと言われている。
台湾国家政策研究基金会の李正修氏は大紀元の取材に対し「報告書は、米国側が軍事力で中国よりも優っていることをアピールしている」と述べ、中国を牽制する意図があると分析した。
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