在ウ日系企業、復興需要に期待…在ロ企業は見通し厳しく 景況感調査

2022/10/28
更新: 2022/10/28

ウクライナとロシアにそれぞれ進出する日系企業景況感を問うアンケート調査で、在ウ日系企業は復興需要への高まりや市場回復で現地ビジネス拡大に期待を寄せていることがわかった。いっぽう、在ロ日系企業は今後半年から1年で事業を拡大すると回答した企業はなく、厳しい選択を迫られていることがうかがえた。

日本貿易振興機構(ジェトロ)が10月13日から21日に調査を行ったところ、在ウ日系企業(16社回答)は今後半年から1年後の事業見通しについて「拡大」「現状維持」と答えた企業が63%を占めた。いっぽう「撤退」は0%だった。拡大理由は復興需要への期待と、市場回復による販売拡大の見込みを挙げた。関心分野はインフラや都市開発、建築など復興関連分野が多い。

9月に発表された在ロ日系企業(107社回答)に対する景況感調査では「撤退済み・撤退決定した」企業は全体の4.7%だった。規模縮小か現状維持を選ぶ企業は95.3%に上ったが、拡大すると回答した企業はなかった。現地生産停止の影響で事業収入が減少したことや、続く軍事侵攻や対ロ制裁により見通しは明るくないとの声が多かったという。

ロシアのIT企業はかつて欧米諸国の開発委託先であり、カスペルスキーやヤンデックスなど国際的な成功を収めた企業もある。しかし、優れたIT人材はウクライナへの軍事侵攻後に多数出国しているという。ジェトロが26日に発表した報告によれば、流動的だが5万~10万人の技術者がロシアから離れたと推定している。

ロシアによるウクライナへの軍事侵攻から8か月が経過した。厳しい冬季を前にロシアはウクライナのエネルギー施設を集中攻撃し、国民の抵抗を挫く狙いがあるとされる。電力制限を強いられる苦境の下、ウクライナ当局は国外脱出した国民に「春まで戻らないで」と呼びかけた。

日本の安全保障、外交、中国の浸透工作について執筆しています。共著書に『中国臓器移植の真実』(集広舎)。