監視カメラ世界大手ダーファ・テクノロジーズ(浙江大華科技)は25日、都内で会見を開き、日本国内の事業を拡大する方針を発表した。同社は新疆ウイグル自治区の人権侵害に加担しているとして米国の制裁対象となっている。小林鷹之前経済安保担当相は同社について「事実上米企業との取引ができない企業」と指摘した。
ダーファは中国・杭州に拠点を置く監視カメラ大手。同社の製品は欧州やアジア、アフリカ諸国で導入されている。日本では2015年に代理店を通じてセキュリティ製品を販売し、2020年に東京で合弁会社を設立した。会見では、大阪にも拠点を設置し日本事業を本格化させると表明した。
小林氏は26日に自身のツイッターで、ダーファは「米国のエンティティリストに掲載されている」とし、米国の制裁対象であると指摘した。米政府は2019年、ダーファが中国共産党の「人権侵害と蹂躙」に関わっているとして、政府調達禁止リストおよびエンティティリストに追加すると発表している。
米国輸出管理規則に基づくエンティティリスト入りは、日本とも無関係ではない。同規則の域外適用により、リスト掲載企業と取引を行えば、米国企業との取引が制限される可能性がある。
米国がダーファを含む中国の通信機器企業にさらなる規制を加えるとの報道もある。米メディア・アクシオス(Axios)は13日、通信管理を担う米通信委員会(FCC)が、ファーウェイ(華為)とZTE(中興)、ダーファなど3つの中国監視カメラ企業の製品販売を一部禁止する見通しだと報じた。関係筋は「国家安全保障上の理由」を挙げた。
ダーファは2018年、新疆ウイグル自治区の警察当局と10億ドル近い契約を結び、地域の監視システム運営に協力していることがわかっている。映像監視と人権を調査するインターネット・プロトコル・ビデオ・マーケット(IPVM)は今年10月、ダーファの監視カメラ4機種は「新疆・チベット」といった特定の少数民族を分類する機能を備えていると指摘した。以前のIPVMによる調査では、「ウイグルに関するリアルタイム警報」機能も備えていることが明らかになった。
対テロ名目でウイグル人を弾圧する中国共産党は、少数民族の顔認証情報や声紋などの生体情報を入手してAI(人工知能)の精度を高めたと言われ、新疆は「ハイテク技術を駆使した統制社会の実験場」とも例えられている。
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