17日のニューヨーク外国為替市場では円相場が1ドル=149円台をつけ、1990年以来およそ32年ぶりの円安水準となった。米国の急速なインフレに伴う政策金利の引き締めが継続し、日米間で金利差が拡大している。
鈴木財務相は18日の会見で、緊張感を持って為替の動向を見ている状況だと述べ、「投機による過度な変動は容認できない。適切な対応を取るという従来の考えは変わっていない」と強調した。
岸田首相は17日の衆議院予算委員会で「投機が絡んだ急激な為替の変動は好ましくない」と発言し、鈴木氏も度々「断固たる措置」を取ると牽制してきた。しかし、円安の流れに歯止めは掛からず、年初に予測されていた150円台も現実味を帯びてきた。
その背景にあるのは米国の急速なインフレだ。13日に発表された米消費者物価指数は前年同月比8.2%上昇となり、前月の8.3%からわずかに減速したものの、市場予想を上回るものとなった。
米国の中央銀行に相当する連邦準備制度理事会(FRB)は今年3月以降、大幅な利上げを行なってきた。FRBのパウエル議長は9月の記者会見で、物価の安定を回復するため、金融引き締めの姿勢を維持する考えを示した。
年初には115円台だった円相場は、およそ10ヶ月間で34円ほど値下がりした。なお、米FRBは2023年末の金利見通しを4.6%としており、利上げは今後も続くと見られている。
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