「日本の未来を切り拓いた」九段坂公園で献花…3時間待ちの長い列、デジタルでも33万人

2022/09/27
更新: 2022/09/27

安倍晋三元首相の国葬に際し、九段坂公園では一般向けの献花が16時まで行われた。花を手向けようと献花に訪れる人は夕方も絶えず、内閣府によれば列は四谷駅まで伸び、献花台まで少なくとも3時間との案内が行われた。

ソーシャルメディアで受け付けていた、有志の若手経営者らが作成した「デジタル献花」プロジェクトにも33万人もの人が花を供えた。プロジェクトによれば献花の締め切りは国葬が行われる27日までだったが、30日まで延期するという。

多くの人が安倍氏を惜しみ日本全国から献花に訪れ、受付時間は30分繰り上げられた。石川県金沢市から来たという女性会社経営者は、「日本の戦後総理大臣として、日本の未来を切り開いていくかけがえないのない存在だった」とその死を惜しんだ。

アベノミクスを発動され、経営者である私としては経営がますます上向きになった。感謝している。日本の平和や安心を作ってくれた」と続けた。

反対派の行動やメディア報道には首を傾げた。「友人や会社関係、取引先なども含めると500人ぐらいにはなる。しかし誰一人として安倍さんを悪く言う人はいない」「ささいなことをいつまでも報じている。いまの国葬報道もとても残念だ。貶めるような報道内容を鵜呑みにしてしまっているのかと思う。だから今回、私としては凛として弔意を捧げにきた」と語った。

東京都文京区からの60代男性は、積極的な外交姿勢を安倍氏の功績と称えた。「中国の一帯一路構想に対して対抗できるアジア太平洋の構想はなかった。インドや東南アジア、米国も組み入れて、自由と民主という普遍的価値を共有した構想で対抗できる力を結成した。これは功績だ。そして共産主義とも対抗した」

次世代に伝えたい安倍氏の像として「日本という国の素晴らしさを世界に示した首相として伝えたい。安倍さんの蒔いた種が、わたしたちの子供、孫たちの世代に花開くよう祈っている」と述べた。

50代の神奈川県在住の男性は経済政策を評価した。「氷河期という低迷時代から安倍氏は脱出させてくれた。有効求人倍率を高め何百万人もの働き手を得た。手腕の高い政治家だったということがわかる。その御恩に報いるために献花に参った」「安倍総理の他に変わる人物はいないだろう。日本と国民を守る政治家が増えてほしいと願っている」と安倍氏なき後の保守政治を憂いた。

デジタル献花 締め切り延期

8月25日から始まった、20代から30代のベンチャー企業経営者による安倍氏デジタル献花プロジェクトにも、27日まで33万の人が献花を行った。当初9月27日の国葬儀当日までを受付締め切りとしていたが、アクセス集中によりさらなる参加者を見込むとして30日まで延期された。

プロジェクトの公式SNSは「弔意が宙に浮くのは本意ではない」と延期について説明し、「皆さんの想いを安倍さんに届けましょう」と呼びかけた。

デジタル献花に参加した人のなかには10代、20代とする名前もみられる。九段下公園の一般献花にも若者の姿は少なくなかった。内閣府によれば一般献花は17時までで、15時の時点で少なくとも献花台まで3時間を要するという。

国葬の式典では、菅義偉前首相が弔辞の中で献花に若者が多いことについて触れた。「今あなたを惜しむ若い人たちがこんなにもたくさんいるということは、歩みをともにした者として、これ以上にうれしいことはありません。報われた思いであります」と語った。

日本の安全保障、外交、中国の浸透工作について執筆しています。共著書に『中国臓器移植の真実』(集広舎)。