米銀行大手のJPモルガン・チェース、バンク・オブ・アメリカ、シティグループの各最高経営責任者(CEO)は21日、米下院の金融サービス委員会における公聴会に出席し、中国が台湾に侵攻した場合、米政府の要求に応じ中国から撤退すると明言した。
ブレイン・ルートケマイヤー下院議員(共和党)は公聴会で、各銀行の幹部に対し「中国が台湾に侵攻した場合、どう対応するか」と質問した。バンク・オブ・アメリカの会長兼CEOであるブライアン・モイニハン氏は「米政府の指示に従う」と述べた。同氏はここ数十年来、米政府の指示に従い中国と協力してきたが、「政府が立場を変えたら、ロシアへの対応と同じように、われわれもすぐに立場を変える」と話した。
シティグループのジェーン・フレイザーCEOとJPモルガン・チェースのジェイミー・ダイモンCEOは、モイニハン氏の発言に同調した。
今年2月にロシアがウクライナに侵攻した後、米国の銀行は欧米各国の経済制裁に応じ、ロシアでの業務を終了すると相次いで表明した。しかし、中国はロシアと比べて経済規模がはるかに大きいため、多くの米銀行は現在も中国での事業拡大を模索している。
英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)によると、ローンや証券投資などを含めて、シティグループが持つ中国でのリスク・エクスポージャーは2021年末時点で273億ドル(約3兆8799億円)に達した。ロシアの5倍だという。JPモルガン・チェースは11年に中国で証券事業の合弁会社を設立したが、昨年ようやくその全株式を取得した。
公聴会で下院議員らは3行のCEOに対し、中国政府による人権侵害を非難するよう要求したが、JPモルガン・チェースのダイモンCEOは「台湾について具体的なコメントを出すつもりはない。この事案に関して米政府が声明を出すべきだ」とかわした。
シティグループのフレイザーCEOは「このような事態を目の当たりにして、非常に心を痛めている」と明言を避けた。
ご利用上の不明点は ヘルプセンター にお問い合わせください。