バイデン米大統領は24日、学生ローンの借り手に対し、1人当たり1万ドル(約136万円相当)の返済を免除すると発表した。11月に控える中間選挙を見据えて、若年層にアピールし、支持者層を広げる狙い。
対象者は、年間所得が12万5000ドル未満、世帯所得が25万ドル未満の借り手。ホワイトハウスによると、該当者は4300万人に上り、うち約2000万人は債務が帳消しになるという。連邦政府が支給する補助金「ペル・グラント」の受給者が組んだ学生ローンについては、減免額が最大2万ドルとなる。
また、新型コロナウイルス対応で導入した連邦学生ローンの元利返済一時停止措置を8月末から今年末まで延長し、2023年1月に返済を再開させる見込みだ。
バイデン氏は「選挙公約に従い、私の政権は、来年1月の連邦学生ローンの支払い再開に向けて、労働者階級や中間層の家庭にゆとりを与える計画を発表する」と説明。多額なローンの返済に苦しむ大卒者の現状が社会問題となっている中、民主党急進派が以前から2020年大統領選で掲げていた選挙公約を順守するよう声高に求めていた。
ホワイトハウスによると、一般的に学生が約2万5000ドルの債務を抱えて大学を卒業していると説明している。
バイデン政権のインフレ対応をたびたび批判してきたラリー・サマーズ元財務長官は、学生ローン減免は現在の記録的なインフレを助長させる可能性があると警告。「学生ローンの債務救済は、需要を高め、インフレを増加させる支出だ」と述べた。
CNBCと調査会社モメンティブが8月4日から15日まで成人5142人を対象に実施した世論調査によると、学生ローンの免除による「インフレ悪化を懸念する」と答えた人が59%だった。
また、すでに何年もかけて多額なローンを完済した人々にとって不公平だとの声もある。
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