中国当局、複数の台湾政治家に制裁措置 台湾外交部「反感買うだけ」

2022/08/18
更新: 2024/06/28

中国当局は16日、台湾の駐米代表ら7人の政治家を「頑固な台湾独立分子」であるとして、制裁を科すと発表した。これに対し、台湾外交部は同日、萎縮効果を狙う中国共産党の思惑ははずれ、台湾の人々からさらなる反感を買うだけだと非難した。

制裁対象は台湾の駐米代表・蕭美琴氏や民進党の立法委員(国会議員に相当)の王定宇氏ら7人。本人及びその家族の中国本土への渡航を禁止した。ペロシ米下院議長の台湾訪問を受けての措置と見られている。制裁を発表したのは台湾事務を取り扱う中国共産党中央台湾工作弁公室。

これを受けて、台湾外交部の欧江安報道官は16日の定例記者会見で「中国は過剰に反応して、危機をつくり出している。台湾への脅しが両岸関係悪化の主因であることを改めて証明するものだ」と指摘。「台湾は民主の法治国家で、中国政府の干渉は受け入れられず、権威主義政権からの脅しはなおさら受け入れられない」と述べた。

中共認定の「台湾独立分子」は名誉

中国共産党の制裁リストに追加された7人は、制裁を「名誉なことだ」と切り返し、中共の圧力に屈しない姿勢を示した。

制裁対象となった蔡其昌・立法院副院長は、「台湾のために声を上げ、人々から与えられた責務を実行しようすれば、必ず中国共産党が脅しにかかるが、我々は決して妥協しない」と述べ、「立法院であろうと台中市であろうと断固として立ち上がり、我が国と我が市を守り抜くために全力を尽くす」と強調した。柯建銘氏は、「敵の攻撃はその人の勲章であり、それ以外の回答はない」と述べた。

民進党の林飛帆副秘書長は、「台湾の外交官や外国のメディア、シンクタンクなど、自分にメッセージをくれた友人たちは、真っ先に『おめでとう』と言ってくれた」という。「権威主義的な政権からの制裁は自由な世界の一員として名誉なことだ」と述べた。

王定宇氏は「中共の制裁は何年も前から行われており、目新しいものではなく、おそらく感情の発散だろう。『本人とその家族の香港及びマカオの特別行政区への入境を禁じる』としているが、台湾が中国の領土内にないことを示している。制裁はまた、間接的に台湾がナンシー・ペロシ米下院議長の名声を高めるのに寄与し、名誉なことである」との認識を示した。

この中国の台湾関係者に対する制裁発表について、英議会人権派で知られるデービッド・アルトン上院議員は「中国共産党は、民主主義と法治を信じる世界中の人々に制裁を科すのだろうか。これは簡素な手続きだろう」と皮肉を込めてツイートした。

中国当局は昨年11月にも、台湾の蘇貞昌行政院長、游錫堃立法院長、呉釗燮外交部長をリストに追加している。

エポックタイムズ記者。『時事ノイズカット』の解説員。