中国企業による米軍基地付近の土地購入計画、ノースダコタ州知事が国に審査要請

2022/08/02
更新: 2022/08/02

米国ノースダコタ州のダグ・バーガム (Doug Burgum)知事は7月25日、対米外国投資委員会(CFIUS)に対し、中国企業による同州米空軍基地付近の土地取得計画について、早期に審査を行うよう要請した。

知事はジャネット・イエレン(Janet Yellen)財務長官やロイド・オースティン(Lloyd Austin)国防長官に宛てた書簡で、同計画がもたらす米軍基地や米国の食糧供給網への影響について懸念を示した。

中国の化学調味料メーカー、阜豊集団(フフォン グループ)は今春、ノースダコタ州グランドフォークス市に370エーカーの土地を購入した。米国初のトウモロコシ製粉工場を建設するとしているが、土地はグランドフォークス空軍基地から車で約20分(約19キロ)の場所に位置している。

同空軍基地は米国でもトップレベルの情報・監視・偵察能力を有しており、世界各国に駐在する米軍の通信システムを支える中枢とも言われている。

雇用機会の創出や地域関連産業の振興へ繋がるとして、同市のブランドン・ボチェンスキー(Brandon Bochenski)市長は阜豊集団の投資を歓迎している。いっぽうで、「米軍活動の監視に使われる」との懸念が国家安全保障分野の専門家や連邦議員らから上がっている。

国家安全保障の観点から外国投資を審査する、米議会の諮問機関「米中経済・安全保障調査委員会(USCC)」が5月26日に公表した報告書の中でもこの事案を取り上げていた。

報告書は、米空軍のジェレミー・フォックス少佐(Maj. Jeremy Fox)の見解を引用して「中国の情報機関はグランドフォークス空軍基地近くの土地でアンテナを張り、正確な収集用周波数帯に調整すれば、基地内の信号をキャッチできる」と指摘した。

また、「中国共産党政府の管理下にある中国企業による米国の農業資源への乗っ取りは、米国の競争優位を損ね、国家安全保障上のリスクをもたらしている」と警鐘を鳴らした。

マルコ・ルビオ米上院議員ら複数の議員も国家安全保障上の懸念があるとして、CFIUSに対し同土地取得案を精査するよう求めた。

ルビオ議員らはイエレン財務長官とオースティン国防長官に宛てた書簡のなかで、「阜豊集団は中国共産党とのつながりが報告されている」とし、同集団の事業が中国人民解放軍の監視の隠れ蓑になりかねない」と訴えた。

在米中国問題専門家の謝田教授は先月29日、大紀元の取材に「米政府は情報窃盗を目的とした土地取得計画を却下すべきだ」と述べた。

謝氏によれば、中国には本当の意味で独立した民間企業は存在しないという。

「外資企業も含め、中国のほとんどの企業では社内に中国共産党の党組織の設置が義務づけられている。そうして共産党の幹部は理事会に入り込み、企業の決定に関与している。共産党の代表者に反対できる人はいない。中国共産党はそのようにして中国企業を支配してきた」

「中国企業が海外で発展する機会を獲得すれば、中国共産党の支配も海外にまで及ぶことになる。阜豊集団によるこの7億ドル(約948億円)に及ぶ巨額の投資は、中国政府の承認を得ている、浸透は免れない」と謝氏は警告した。

一部の米議員は、中国企業などによる農地や軍事基地周辺の土地購入を規制する法案などを相次いで提出している。

(翻訳編集・李凌)