蔡英文総統、台湾は「民主の砦」 造船能力向上など防衛強化を明言=ケタガラン・フォーラム

2022/07/27
更新: 2022/07/27

インド太平洋の安全保障に関する論壇「ケタガラン・フォーラム(凱達格蘭論壇)2022」が26日、台北で開かれた。蔡英文総統はオンラインで演説し、国産艦船のための造船能力の推進や予備戦力の強化、非対称作戦能力を向上に繋ぐ投資の増加など、台湾の防衛力強化を加速させていくと強調した。

蔡英文氏は、インド太平洋地域では中国共産党政権を念頭に、権威主義勢力によって地域の安定が脅かされていると述べた。「グレーゾーン戦術で国際的な法的規範を弱体化させ、外交手段を通じて民主主義体制の国や国際組織に浸透し、他国の主権を破壊しようとしている。こうした暴力的な行動は、その組織的な人権侵害で露わになっている」と指摘した。

今月死去した、インド太平洋の安全保障枠組みを提案した故安倍晋三元首相に弔意を示した。「偉大な指導者、親友、同盟、そして先見の明のある政治家を失った」と述べた。日米豪印4カ国枠組み「クアッド(QUAD)」や「自由で開かれたインド太平洋」など、安倍氏は地域のパートナーと強固な基盤を確立し、同氏の尽力により地域の安定と繁栄を確保するための「民主主義とルールに基づく国際秩序を保護した」と語った。

蔡英文氏は、台湾は地政学的、戦略的に拡張する権力の最前線に位置しており「民主の砦」であると例えた。また、台湾は数十年の経験があり、民主主義に基づく連盟の中で重要な役割を果たし、権力の侵略に対抗することができると述べた。

権威主義国 対抗策は「同盟、同盟、同盟」

ケタガラン・フォーラムは2017年から開催され、世界および地域の重要な安全保障問題について要人を招き議論を重ねる。今年は台湾外交部とシンクタンク・遠景基金会が共催し、日米豪から元閣僚ら政界要人がオンライン形式を含めて演説した。マティス元米国防長官や河野太郎元外相、アンドリュース元豪州国防長官などが出席した。

マティス氏はロシアとウクライナの戦争について、中国の習近平主席が台湾を武力で制圧するとの意志に直接影響を与えないだろうと指摘。そのうえで、その方法と時期については強い影響を及ぼしたと述べた。「しかし現在の我々の対応に関しては、同盟、同盟、同盟の3つの言葉でしかない」と語り、同盟国の連携を重要視した。

河野氏は、中国の軍事力増強が地域の安定を損なうことに対して「我が国は否応なく影響を受ける」とし、民主主義と自由の価値を守る決意を国際的な舞台で示さなければならないと述べた。

また、ロシアなどの強権国が一方的に侵略を行い、同時に国連安全保障理事会で拒否権を行使することに対抗して、国際社会は新たな国連規則を制定し、国際メカニズムの機能を確保すべきだと訴えた。

日本の安全保障、外交、中国の浸透工作について執筆しています。共著書に『中国臓器移植の真実』(集広舎)。
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