米上下両院超党派、対中競争法案一本化を目指す 6月中

2022/05/16
更新: 2022/05/16

米ボイス・オブ・アメリカ(VOA)によると、米国の超党派議員は中国を念頭に、米国の競争力を強化するための上院の「米国イノベーション・競争法案(USICA)」と下院の「米国競争法(America COMPETES Act of 2022)」を、今年6月に一本化することを目指している。

米上下両院の民主・共和党の議員107人から構成する「超党派イノベーション・競争法案会議委員会(Conference Committee on Bipartisan Innovation and Competition Legislation)」は12日、初めて会合を開いた。

昨年6月、上院では米国内のハイテク産業やサプライチェーン強化のための2500億ドル規模のUSICA法案を可決した。下院では今年2月に国内の半導体産業など強化するための3500億ドル規模の類似法案「米国競争法」を可決した。

与野党は中国との競争に勝つために法改正が必要だとの認識で一致しているが、両法案の一部の文言、特に半導体産業支援に関して相違点が存在している。両院はこうした意見のズレを調整し、統一した法案を両院で改めて可決することを目的に、4月に超党派の会議委員会を立ち上げた。

会議委員会の主宰者であるマリア・キャントウェル上院議員(民主党)は12日の初会合で、「今は米国にとって、まさにスプートニク・ショックだ」と警告した。スプートニク・ショックとは、旧ソ連が1957年10月に人類初の人工衛星「スプートニク1号」の打ち上げの成功に、米国など西側諸国の政府や社会が衝撃を受けたことを意味する。

キャントウェル上院議員は、同法案はウクライナ戦争や100年に一度の世界的な感染病大流行によるサプライチェーンの危機に対処しなければならない米国に、国内での製造と研究開発などに必要な資源を提供すると強調した。

同議員によれば、現在、連邦政府の研究部門に提供される資源の割合は、国内総生産(GDP)の1%以下となっている。これに対して1960年代はGDPの2%だった。

対中競争法案は、両院が一本化した後にバイデン大統領の署名を経て成立する。上院のUSICA法案の発起人の1人であるトッド・ヤング議員(共和党)は11日、上院民主党トップのチャック・シューマー院内総務が6月に意見調整を終了する意向だと明かした。

ヤング議員は、両院の超党派議員の間で対中法案の一部の内容や、または表現などに関して異なる主張があるが、法案自体は支持しているとした。

米国では11月に中間選挙が行われる。ヤング議員は選挙の影響を避けるため、会議委員会は8月の議会休会の前に統一法案を提出するよう取り組んでいるとした。

バイデン大統領は6日、中西部オハイオ州で演説した際、国内の先端技術の競争力向上を図る対中法案の早期成立が必要だと強調した。「(法案は)物価を下げ、米国に雇用をもたらし、製造業の復活の助けになる」と大統領は述べ、法案が迅速に成立してこそ「米国の経済と国家安全保障に役立つ」と強調した。

張哲
張哲