パンデミックにもかかわらず…資産を増やす中国富裕層

2022/05/02
更新: 2022/05/02

中国の調査機関・胡潤研究院が4月14日に発表した「2021年富裕層報告」によると、2021年1月時点で中国の富裕層は2020年の中国のGDPの約1.57倍にあたる約25兆1000億ドルを保有していたという。パンデミックにもかかわらず、中国の富裕層は資産を増やしていたことを示している。

報告書によれば2020年の富裕層世帯の総資産は前年比9.6%増加した。これは、中国の2020年GDP成長率の2.2%を上回った。また、総資産が157万ドルを超える「富裕層」世帯は206万世帯に達し、前年比2%増となった。総資産が1600万ドルを超える「超富裕層」世帯は13万3000世帯に達し、前年比2.5%増となった。

中国の超富裕層から中流階級までは人口の2%程度だが、国の総資産の80%以上を所有している。富裕層が最も多いのは広東省、北京市、上海市で全国の42%を占めた。

国有企業の中国招商銀行による報告書によると、超富裕層は2021年には中国の人口の0.07%に過ぎないが国民資産の約31.54%を所有しており、一人あたりでは約436万ドルとなる。いっぽう、人口の約97.88%の人々の資産を併せても国民資産の17.87%にしかならず、一人あたりでは約1800ドルとなる。
 
これらの数字が示すように、中国は貧富の差が激しいことで知られる。2021年9月、中国国家統計局の寧吉哲局長は、2020年の中国本土のジニ指数は0.468だと述べた。国際連合開発計画(UNDP)の基準では、ジニ指数の警戒すべき水準は0.4である。これより大きい数になると、富裕層と貧困層の間に著しい所得格差があることを示している。

李克強首相は2020年5月、中国の一人当たりの年間所得は約4700ドルだが、6億人以上の人々は月に約157ドルしか稼いでいないと明らかにした。

中国における貧富の差の原因のひとつは役人の腐敗にあるとの指摘がある。2010年、中国国民経済研究所の王小魯副所長は、中国共産党幹部の腐敗が国の大規模な貧富の差の主な原因であるとした。

王氏は、中国の公式ジニ指数は「隠れた収入」が省かれているため、本当の所得格差を正確に反映していないと述べた。隠れた収入や灰色収入とは、汚職や賄賂など、違法または非倫理的な取引に由来する未報告または未申告の収入のことだ。

王氏によると、もし隠れた収入を含めれば、中国の一世帯における最高所得層と最低所得層の間の実際の所得格差は、2008年の公式数値の9倍になるという。最高所得者層の一人当たりの所得は最低所得者の65倍となり、公式発表の数値の23倍以上だという。

武漢大学経済管理学院の劉窮志経済学教授らによる2015年の研究では、隠れた収入を組み入れた場合、2011年の中国のジニ指数は0.53となり、国家統計局が発表する0.477より大幅に高くなるという。

2014年、国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ)は、中国や香港出身の約2万2000人がオフショア金融センターに財産を隠していることを明らかにした。その中には、中国共産党の現・元最高指導者の親族が多く含まれていることが明らかになった。