米映画『アンチャーテッド』、フィリピンで上映中止「九段線」描写で

2022/04/29
更新: 2022/04/29

人気ゲームシリーズを実写映画化した米映画『アンチャーテッド(Uncharted)』はこのほど、ベトナムに続き、フィリピンでも上映中止となった。

中国が自国の権益を主張するため、南シナ海に設定した「九段線」を示す地図を映したことが原因だという。

フィリピン外務省は27日、同映画はフィリピンの国益に反すると指摘。不快なシーンを削除しない限り、上映中止だと声明の中で示した。

ベトナムも同様の理由で先月、同映画の上映を中止している。

上映中止となったソニー配給の米映画『アンチャーテッド』はアクションアドベンチャーゲーム「アンチャーテッド」シリーズの実写映画。『スパイダーマン』シリーズなどで知られるトム・ホランドが主演を務めている。

フィリピンは2019年にも、米中共同制作のアニメーション映画『アボミナブル(Abominable)』の上映を公開10日後に中止した。理由は今回と同様、「九段線」を描いたシーンがあったためだ。

中国は地図上に「九段線」と呼ばれる破線を引き、南シナ海ほぼ全域の領有権を主張している。

しかし、その「九段線」が自国の領土に重なるとして、台湾、ベトナム、フィリピン、マレーシア、ブルネイなどが中国の主張に異を唱えている。

九段線をめぐってフィリピンは13年、中国の主張は国連海洋法条約に違反するとして提訴。オランダ・ハーグの常設仲裁裁判所は16年7月、「九段線には法的根拠がない」とする判決を出した。

ただ、判決の内容を強制的に実現する手立てはなく、判決の受け入れを拒否した中国は、引き続き実効支配する南シナ海の島などで軍事拠点化を進めている。

(翻訳編集・李凌)