終わらない過酷なロックダウン 苦悩する中国の人々

2022/04/04
更新: 2023/02/28

ロックダウンの解除を要求する!」3月初め、ハイテク産業の中心地・深センの福田地区で群衆が叫んだ。世界で最も厳しいコロナ規制に耐えてきた中国人も、我慢の限界に達したようだ。

市内の別の地区では、すでに2週間の自宅隔離が続いていた。ロックダウン延長のニュースを聞いた住民がうっ憤を晴らすためか、バルコニーで何時間も鍋を叩いた。

市内の別の場所では、市民が地元当局と衝突し、検問所と金属フェンスをなぎ倒した。ある衛生局員から、「数か月から一年間外に出ない方がいい」と聞かされ、憤慨したのである。市境付近では取り残された出稼ぎ労働者が帰宅できず、通りを埋め尽くしていた。

ここ数週間、ロックダウンの影響を受けた市民は数千万人におよぶ。中国当局の発表によると、1日あたりのオミクロン感染者数は3月29日の時点で8800人に上り、2桁だった数ヶ月前に比べて急増している。かつては厳しい制限措置が称賛された中国も、今では「ゼロ・コロナ」を追及するあまりに、規制を緩めることができない。閉じ込められた住民は基本的な物資や医療サービスを得られず、当局に対する不満を訴えている。

「なぜ中国は外国のようにコロナ規制をやめられないのか」。素朴な疑問がネットに投稿されると、1週間で5億4千万回以上のアクセスを集めた。

3月23日、中国東部の都市・杭州にある衣料品卸売市場で、中小企業の事業主数百人が賃貸料の返還を求め、国内最大規模の抗議デモを起こした。1件のウイルス感染が発覚した後、当局は市場全体を閉鎖し、そこで働くほぼすべての人を隔離したのである。抗議に参加した店主の王玲さん(仮名)は、濃厚接触者ではないにもかかわらず、16日間の隔離措置を受けた。彼女は「もう生きていけない」と大紀元に語った。新型コロナが出現した2年前から、店の経営は厳しい状態が続いているという。

生きるか死ぬか

ネットには、厳しい規制に苦しむ市民のエピソードが多く寄せられている。

ある上海に住む70代のガン患者は敷地内からの外出が許可されず、ビルから飛び降りて足首を骨折した。処方薬をもらうために必死だったという。

河北省では、悪性腫瘍の疑いがある女性が複数の病院から治療を拒否された。女性は下半身から血と膿を流して意識を失い、夫と共に10時間近く病院の外で待たされた。彼女の夫は中国版のTikTok「抖音(ドウイン)」に動画を投稿し、理不尽な対応に怒りをぶつけた。「私たちに家でゆっくり死ねと言うのか」「庶民が治療を受けるのが、そんなに難しいことなのか。庶民の命はどうでもいいのか」と訴えた。

持病の喘息が悪化した看護師が、勤務している病院から治療を断られたケースもある。上海にあるこの病院は、新型コロナの規制を理由に救急医療を停止していた。彼女は他の病院へ搬送されたが間に合わず、49歳の若さで亡くなった。

3月20日以降、透析が必要な腎不全の患者およそ200人が上海卓峰病院から追い出されたという情報もある。同病院の看護師と親交のある胡玉梅さん(仮名)は、「生死にかかわる問題だ」と大紀元に語った。「病院は人命よりも、地元当局の立場を重視している」と話す。

ある70代の上海市民は市長に宛てた公開書簡で、中国式のロックダウンは「愚かな政策だ」と指摘した。

「ウイルスよりも愚かな政策の方が、よほど一般市民に害を与えている」

「人々は働けず、富を生み出せず、生活できず、医者にもかかれない。病院も閉鎖されている 」

「命を救うはずの病院が、感染症の流行中に、こんなにあっさりと閉鎖されていいのか。どれほど愚かな者が、このような決断ができるのか」と痛切に批判した。

(翻訳編集・郭丹丹)

Eva Fu
エポックタイムズのライター。ニューヨークを拠点に、米国政治、米中関係、信教の自由、人権問題について執筆を行う。