EU、インフラ入札に新規則 中国に市場開放迫る

2022/03/21
更新: 2022/03/21

欧州議会、加盟国と欧州委員会は14日、公共事業の入札資格を規定する「国際調達措置(IPI)規則案」に合意した。中国などの国に市場開放を促すよう圧力をかけていく方針だ。

欧州連合(EU)理事会の輪番議長国であるフランスのフランク・リエステール貿易相は、「ナイーブなヨーロッパは過去のものだ」と述べ、今後、欧州の公共調達市場へのアクセスは互恵主義を条件とすることになると説明した。

IPI規則案は、特定の外国からの入札を排除することが可能だ。ドイツ産業連盟などによると、中国企業はこれまで、EU企業の40〜75%の金額を提示し、価格競争を勝ち取っていた。

2019年1月、中国中鉄隧道集団(CTG)がスウェーデンで2億5700万元(約41億円)の鉄道建設を請け負った。入札で次点となった豪企業は、この価格では原価を大幅に下回り、工事を行うのは不可能だと批判した。一定水準の労働条件の維持や賃金の確実な支払いについても懸念が出ていた。

クロアチアの南端とペリェシャツ半島を結ぶ「ペリェシャツ大橋建設プロジェクト」は18年、中国の道路・鉄道建設大手、中国路橋工程(CRBC)が中心となる企業共同体(コンソーシアム)によって落札された。入札金額は3億5千万ユーロ(約462億円)と、豪企業の4億4千万ユーロ(約580億円)、伊企業の4億3千万ユーロ(約567億円)を大きく下回っていた。

いっぽう、EU企業は中国の公共事業の入札に参加することが認められていない。この不公平な状況を是正する目的で、欧州委員会は12年にIPI規則案(草案)を提案したが、ドイツなど一部加盟国の反対により、審議が頓挫していた。

近年では、中国などの新興国による保護主義的な政策への正当な対抗手段として、IPIの必要性が認められ、ドイツが賛成に転じたことで、今回の合意に至った。

IPI規則案は公共事業の入札を外国企業に開放しないすべての国に適用される。

EU議会の首席交渉官を務めるダニエル・カスパリー氏は15日、IPI規則案の主な目的は、中国に市場の対等的な開放を迫り、安価な値段で入札競争を優位にする中国企業の大型インフラプロジェクトの落札を防ぐためと述べた。

ドイツメデイアによると、EUは中国企業によるEUの公共事業入札への参加を正式に禁止する前に、中国に市場開放を改めて促す方針だという。

同規則案は、今年年末に正式に導入される見通しだ。

(翻訳編集・叶子静)