防衛省、北朝鮮のICBM発射を強く非難 米軍は警戒体制強化

2022/03/11
更新: 2022/03/11

日米両政府は11日、北朝鮮が2月27日と3月5日に発射した弾道ミサイルはいずれも大陸間弾道ミサイルICBM)級の弾道ミサイルであるとの評価を発表した。今後も北朝鮮が発射実験を行う可能性があるとみて両政府は警戒を強めている。

カービー米国防総省報道官の10日(現地時間)の声明によると、北朝鮮による2回のミサイル発射は「ICBM対応プラットフォーム」といった新システムが装備されている。今後行う「衛星の打ち上げ」を装った最大射程実験の前に、2回の実験を通じて新システムを評価する狙いがあったのではないかとみている。

複数の国連安全保障理事会決議は北朝鮮によるICBM発射を禁止している。カービー氏は今週はじめから、米インド太平洋軍による黄海の情報監視と偵察収集を強化し、地域の米弾道ミサイル防衛部隊の準備態勢の強化を命じていると明らかにした。

また、北朝鮮による兵器開発技術の入手を阻止するため、米財務省は11日(現地時間)にも新たな措置を発表するとバイデン政権高官が表明した。ロイター通信が報じた。

今回、米国側はミサイルの情報分析結果を他の同盟国やパートナー国と共有し、日本側もほぼ同時に発表した。「国際社会は北朝鮮による兵器のさらなる開発と拡散に反対するため声を合わせていなければならない」とカービー氏はその意義を強調した。

防衛省によると、2回の発射はいずれも平壌近郊から発射され、最大射程(ICBMは5500キロ以上)に至っていない。ミサイルは北朝鮮が2020年10月に実施した北朝鮮労働党創建75周年祝賀行事の一環である軍事パレードで初めて確認されたものと同一との見解を示した。

2月27日の弾道ミサイルは最高高度約600キロ程度で距離約300キロ程度を、3月5日の弾道ミサイルは最高高度約550キロ程度で距離約300キロ程度を飛翔した。

さらなるミサイル実験をほのめかす

北朝鮮はミサイル実験を否定し、偵察衛星の打ち上げだと主張している。いっぽう、さらなる発射実験の実施もほのめかしている。朝鮮労働党機関紙・労働新聞11日付けによれば、金正恩総書記は「衛星発射場」を視察し「大型運搬ロケット」で軍事偵察衛星などを打ち上げられるよう、施設の改修や拡張を指示したという。

岸田文雄首相は11日に総理官邸で記者団に対し、今後の北朝鮮に対する対応は外交や制裁などを含め、米韓とも連携しつつ検討するとした。また日本において「高度な警戒態勢を維持して、防衛力を抜本的に強化する」と述べた。

岸信夫防衛相は記者会見で「国際社会がロシアによるウクライナ侵略に対応しているなかにあっても、国際社会に対する挑戦を一方的にエスカレートさせるようなミサイル発射強行は断じて容認できない。関連の安保理決議に違反し国際社会に背を向ける行為に他ならず、強く非難する」と述べた。

日本の安全保障、外交、中国の浸透工作について執筆しています。共著書に『中国臓器移植の真実』(集広舎)。