ピート・ヘグセス米国防長官が、今後5年間にわたり国防費を毎年8%削減する計画の策定を指示したと、複数の米メディアが報じている。この指示は、トランプ政権の優先事項に予算を振り向けるための大規模な予算見直しの一環とみられる。
ワシントン・ポストが入手した内部文書によると、ヘグセス長官は2月18日付けの覚書で、国防総省の高官らに対し、2月24日までに予算削減案を提出するよう求めた。この削減案が実行されれば、現在約8500億ドルの国防予算から年間約500億ドルが削減されることになる。
しかし、すべての分野が一律に削減対象となるわけではない。トランプ政権が重視する17の分野は削減対象から除外される。具体的には、メキシコ国境での軍事作戦、核兵器の近代化、ミサイル防衛プログラム、特定のドローンや弾薬の調達などが含まれる。
ヘグセス長官の指示について、国防総省のロバート・サレッセス国防副長官代行は声明で「トランプ大統領の優先事項に沿って、国境の安全保障、アメリカ版アイアンドームの構築、不要な政府の多様性・公平性・包摂性(DEI)プログラムの廃止などに焦点を当てる」と説明している。
この大規模な予算削減案は、議会で超党派の反発を招く可能性が高い。共和党議員の中には国防費の増額を主張する声もあり、民主党からも批判の声が上がっている。
一方で、この予算削減案は、トランプ大統領が掲げる政府支出削減の方針に沿ったものとみられる。実際に、過去数週間で数千人の連邦職員が解雇されている。
今後、この予算削減案が実際にどのような形で実行されるのか、また議会での議論がどのように展開されるのか、注目が集まっている。
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