クアッド首脳会談「一方的な現状変更許さない」 東京で対面式会合開催へ

2022/03/04
更新: 2022/03/04

日米豪印の4カ国による戦略枠組み「クアッド」の首脳会談が日本時間3日夜、テレビ会議の形式で1時間ほど行われた。ロシアのウクライナ侵攻を踏まえ、力による一方的な現状変更をインド太平洋地域で許してはならないことで一致した。東京で数か月以内に対面式の首脳会合を開催する予定。

会談ではウクライナ情勢と人道危機について議論が進められた。米ホワイトハウスの声明によると、4カ国によるインド太平洋地域における将来の人道的課題に対応するメカニズムを新たに立ち上げる。ウクライナ危機への個別対応でも意思疎通のチャンネルを設置することで合意した。

会談には、岸田首相のほか、バイデン米大統領、モリソン豪首相、モディ印首相が出席した。会談では日米豪印首脳による対面式の会合を数か月以内に東京で開催することで一致した。

会談後の記者会見で岸田首相は、ロシアによる武力侵攻を非難すると同時に、「力による一方的な現状変更をインド太平洋地域で許してはならない」ことで一致したと語った。そして、「自由で開かれたインド太平洋の実現に向けた取り組みをいっそう推進していくことが重要」との認識を共有したと明らかにした。

国連の対露非難決議の採択で棄権したインドに対する働きかけが注目されていたが、岸田首相はインドとのやり取りの詳細について言及を控えた。

いずれの国の声明等に中国および台湾に関する記述はないが、モリソン豪首相の声明には、中国共産党の拡張を念頭にして「より小さな国がより強力な国に怯えて暮らすことのない、自由で開かれたインド太平洋地域への関与に断固とした姿勢で臨む」と記されている。同国からはロシアに対する強力な制裁措置を実施し、ウクライナの防衛支援として5000万豪ドルの軍事支援や、2500万豪ドルの緊急人道支援を行なっている。

インド政府の発表では、モディ首相はクアッドがインド太平洋地域の平和、安定及び繁栄を促進するという中核的な目標に焦点を当て続けなければならないと強調した。また、ウクライナ情勢と人道的支援について「対話と外交の道へ戻る必要性」を主張したという。

首脳会談に先立って行われた記者会見で、岸田首相はウクライナ情勢について「主要7カ国(G7)各国と緊密に連携しつつ、アジア各国に働きかけるなど事態打開に向け貢献する」と述べた。日本の安全保障については、ミサイル技術等や時代の変化に合う対応能力であるかの点検を重ね、日米同盟の抑止を含め国民の命と暮らしを守るための努力を続けるとした。

日本の安全保障、外交、中国の浸透工作について執筆しています。共著書に『中国臓器移植の真実』(集広舎)。