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台湾学者「円安・株高が日本再起の兆し」 国内広がる懸念と対照的に

2022/03/31
更新: 2022/03/31

急激な円安の日本経済への影響が懸念されるなか、台湾の経済メディア「財新伝媒」の謝金河会長は3月26日のFacebook投稿で、日本株の好調と急激な円安は、日本が再び高い経済成長を遂げている重要な兆候であるとの見解を示した。

謝氏は「日本は大活躍時代を迎える」と題したこの文章の中で、米国の著名投資家ウォーレン・バフェット氏が、日本が不況と言われた2020年に日本の大手商社5社の株をこっそり買い、その株価がこれまでにすべて2倍以上になったと指摘している。

中でも日本最大の商社である三菱商事は、2094.5円から4716円(125.16%増)に上昇した。伊藤忠商事は1740円から4243円(143.85%増)に上昇。三井物産は1378円から3407円(147.24%増)に上昇した。 住友商事の株価は1114.5円から2230円へと倍増した。丸紅は456.2円から1492.5円(227.26%増)と大幅な上昇を見せた。

同氏によれば、株式市場の上昇は、日本経済の復活を象徴するものである。もう一つの指標は、日本の海運業3銘柄(海運株)の大幅上昇で、商船三井が1487円から11660円、日本郵船が1091円から12490円、川崎汽船が1168円から9450円と急伸していることである。時価総額も上昇率も、台湾の海運大手3社のそれを上回っている。

また、謝氏は文章の中で、円の対ドルでの動きは歴史的変遷をたどっているとした。第二次世界大戦後、1ドル360円から円高が進み、プラザ合意時(1985年)の263.5円から95年の79.75円まで急上昇。東日本大震災後の2011年には、過去最高値となる75.53円を記録した。円高は日本経済の再起を困難にしているという。

謝氏は「日本の歴代首相は円安への誘導に取り組んできたが、なかなかうまく行かなかった」と述べた。「日本が米国の戦略陣営に復帰したことは、国際地政学上の大きな変化である。今、日米同盟はインド太平洋戦略の最も中心的な部分となり、日本は対中抑止力を強化する上で最も重要なメンバーになった」とし、円安を日本の国際的影響力や役割の変化に結び付けている。

謝氏は「この戦略的転換は、1960年のアイゼンハワー米大統領の台湾訪問や、一般的な日米安全保障条約の締結に似ており、いずれも大きな時代の変化を象徴している」との考えを述べた。

円安への懸念

最近の外国為替市場では、米国の金利上昇やオミクロン株による中共ウイルス(新型コロナ)再拡大の懸念から円安が進み、 3月28日に6年ぶりの安値となる123.91円台を割り込んだ。日本銀行の黒田総裁は3月25日の国会で「円安は基本的に日本経済にプラス」と従来の発言を繰り返し、円安容認の姿勢を改めて示した。

一方、日本の経済界は円安に慎重な姿勢を貫いている。18年12月4日付の日経中文網は、経済産業研究所の中島厚志理事長の話を引用し、貿易立国から投資立国へと変化した日本では、これまでのように「円安=日本経済の活性化」という考え方は、もはや通用しない可能性があると報じた。

東京商工会議所が昨年12月1~9日にかけて実施したアンケート調査において、調査対象6941社のうち、円安が「不利」と答えた企業は29.27%、「有利」と答えた企業は4.9%、残りは「どちらでもない」であった。

円安に伴う事業リスクに関する回答では、「材料費、燃料費などの間接コストの増加」(1575社)が最も多く、次いで「輸入品の価格上昇による直接コストの増加」(1325社)となった。

鈴木俊一財務相は3月29日の記者会見で、対ドルの円相場について「悪い円安にならぬよう政府として注視したい」と述べ、国内マスコミの報道で広がる「悪い円安論」への警戒感を示した。

(翻訳編集・王君宜)