ドイツがエネルギー政策を大転換 ロシアのウクライナ侵攻で

2022/02/28
更新: 2022/02/28

[ベルリン 27日 ロイター] – ドイツのショルツ首相は27日、ロシアのウクライナ侵攻を受けて、ロシア産ガスへの依存度を引き下げるためにエネルギー政策を大きく転換する方針を示した。ウクライナ危機に対処するため開かれた臨時国会で表明した。石炭火力発電所と原子力発電所の運用期限を延長する可能性がある。

ドイツは他の西側諸国からロシア産ガスへの依存度を引き下げるよう求める圧力を受けているが、石炭火力発電所を2030年までに段階的に廃止し、原子力発電所を今年末までに閉鎖する計画では、ほとんど選択肢がない状態となっている。

ロシア産ガスはドイツのエネルギー需要の約半分を賄っている。

ショルツ氏は「ここ数日の動きにより、責任ある、先を見据えたエネルギー政策が、わが国の経済と環境のみならず、安全保障のためにも決定的に重要であることが明らかになった」と指摘。「わが国は個別のエネルギー供給国からの輸入に依存している状況を克服するため、方針を転換しなければならない」と訴えた。

新たな方針には、ブルンスビュッテルとビルヘルムスハーフェンの2カ所に液化天然ガス(LNG)ターミナルを建設する計画が盛り込まれている。

ショルツ氏によると、天然ガス備蓄施設の容量を長期的に20億立方メートル増やし、欧州連合(EU)と協力して天然ガスを世界市場で追加購入する。

またハーベック経済・気候保護相(緑の党)は、同国のエネルギー供給を確保する手法として、現在も稼働している原子力発電所の運転期限延長を検討していると明らかにした。

ハーベック氏は既存原発の運転延長を認めるかとの質問に対して、「その質問に答えるのはわが省の任務であり、考え方は否定しない」と語った。

また、石炭火力発電所を計画よりも長く稼働させることも選択肢の1つと指摘。「検討においてタブーはない」と強調した。

Reuters
関連特集: 欧州・ロシア