中国当局は各メディアに対して、ウクライナに軍事侵攻を行っているロシアに不利な報道を行わないよう指示した。米ラジオ・フリー・アジア(RFA)が24日、報じた。
ロシアは24日、ウクライナ首都キエフを含む複数の都市を攻撃した。ロシア国防省はこれまでにウクライナ軍の80以上の施設を攻撃したと発表した。
中国外務省の華春瑩報道官は23日の会見で、北大西洋条約機構(NATO)がロシア国境まで拡大したことが引き金だと述べ、ロシアの主張を踏襲した形となった。「大国(ロシア)を絶体絶命の境地に追い込む結果」とロシアを全面的に擁護した。
中国メディアは中国外務省と同じ立場をとっている。中国紙・新京報傘下の国際報道動画チャンネル「世面」は22日、SNS微博(ウェイボー)上で「ロシアに不利な報道と西側諸国を支持する報道を掲載しない」と投稿した。担当者が誤って当局の報道方針を微博上に投稿したとみられる。
中国の元記者だった張家義氏はRFAの取材に対して、報道方針は「上層部の指示」だとした。3月5日に全国人民代表大会(全人代、国会に相当)の開催を控える中国当局はメディアへの言論統制を強めている。
張家義氏は中国当局はロシアのウクライナ侵攻を利用し、台湾問題への対応を正当化する狙いがあると分析した。
「中国当局もロシアのように台湾を奪還できると国民に示したい」
別のメディア関係者はRFAに対して、中国メディアはウクライナ侵攻の報道をめぐってジレンマに陥っていると指摘した。
「ロシア側を支持する報道を行う一方で、西側を完全に刺激したくないのも本音だ。どうバランスを取るのか、難しいだろう」
(翻訳編集・張哲)
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