米国防総省は7日、台湾の抑止力を強化するミサイル防衛システム「パトリオット」の改良などを支援する機器およびサービスの販売を承認し、議会に通知した。売却額は推定1億ドル(115億円)。米国は台湾関係法に基づき、中国共産党の軍事的脅威にさらされる台湾の防衛能力を支える。
国防総省傘下の国防安全保障協力局の声明によれば、駐米台北経済文化代表処(大使館に相当)は台湾防衛のための包括的な機器およびサービスの購入を米国に要請した。同局はパトリオットの改良が「受領者(台湾)の安全保障の向上に寄与し、地域の政治的安定や軍事バランスの維持」を支援できるとした。
この販売の主な契約者は、パトリオットを開発するレイセオン・テクノロジーズとロッキード・マーティンだ。
米国防安全保障協力局は声明で、武器売却は台湾関係法に基づくと強調している。台湾の「防衛力を維持する努力を支援することで、米国の国家、経済、安全保障上の利益に資する」と述べた。
バイデン米政権は昨年8月にも、台湾に対して7億5000万ドル(約820億円)相当の武器を売却することを決めた。「自走砲」と呼ばれる車両40台分に搭載する大砲や関連の装備品などだ。
米台関係が接近するなか、中国共産党は台湾の防空識別圏(ADIZ)に頻繁に軍用機を進入させ威嚇を続けている。スクランブル発進の連続を強いられる台湾軍の疲弊を図っていると、昨年11月に台湾の邱国正・国防部長(国防相)は見解を示している。
台湾の自律性を容認しない中国共産党はこうした米台接近に激しく反発している。中国の張軍国連大使は2月6日の声明で「米国は台湾問題で火遊びをするべきではない」と警告を発した。秦剛駐米中国大使は1月28日、米公共ラジオNPRのインタビューで、台湾に対する米国の関与が「米中軍事衝突」の引き金になるとの考えを明らかにした。
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