中国外務省の趙立堅報道官はこのほど、アフガニスタン駐留米軍を批判するため、シリア内戦時の写真を使用した。写真を撮影したシリア人記者は米メディアに対して、趙氏が事実をわい曲したと非難し、謝罪を求めた。
趙立堅報道官は24日、ツイッター上で写真4枚とともに、「20年間の戦争の末、米国がアフガニスタンの子供たちにもたらしたものはこれだ」とのコメントを書き込んだ。写真には砲弾の残骸を手にする子供たちが映っている。
米ラジオ・フリー・アジア(RFA)28日付によると、写真を撮影したのはシリア人写真記者、アリ・ハジ・スレイマン(Ali Haj Suleiman)氏(23)。同氏はこれまで、シリア内戦下で一生懸命に生きようとする子供たちの様子をカメラに収めた。なかには砲弾などの残骸を集めて収入を得ている幼い子供たちの姿もあった。
スレイマン記者は「怒りを覚えた」とRFAに語った。
「私の許可を受けることもなく、勝手に写真を使った。彼らは事実を改ざんしようとした」と写真の削除と謝罪を求めた。
同氏が撮影したシリアの子供たちの写真は昨年、ユニセフ(UNICEF:国連児童基金)が主催した写真コンテストで栄誉賞を受賞した。
RFAによれば、趙立堅氏は26日、中国国内SNSの微博(ウェイボー)上でも同じ内容を投稿した。スレイマン氏の指摘を受け、ツイッターと微博から投稿が削除された。
外務省の華春瑩報道官も趙氏の投稿を転載した後に削除したことがわかった。
スレイマン氏は、シリア反体制派が支配するイドリブ県を拠点に報道活動を行っている。18歳の時に写真記者となった同氏は各メディアに写真を提供してきた。
スレイマン氏は27日、趙立堅氏の投稿をリツイートし、砲弾などの残骸は「シリア(アサド)政権とロシア」によってもたらされたと強調した。
「アサド政権を支持する中国当局は、シリア人が今経験している『大虐殺』の実行犯の1人だと言わざるを得ない」と同氏は憤慨した。
アサド政権を支援する中国とロシアは2020年の国連会議で、300万人が避難生活するイドリブ県に人道支援物資を搬入することを巡って、2回にわたり反対票を投じた。
(翻訳編集・張哲)
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