キューバ、「一帯一路」に関する協力覚書に署名 

2021/12/30
更新: 2021/12/30

在キューバ中国大使館は26日、キューバと巨大経済圏構想「一帯一路」構想の建設プロジェクトを推進する協力計画に署名したと発表した。キューバは、反政府デモを弾圧するキューバ軍や特殊部隊の「テロ対策」訓練を中国の準軍事組織から受けるなど親中共路線を取っている。

中国大使館の発表によると、24日に中国国家発展改革委員会の何立峰主任(大臣級)とキューバのカルド・カブリサス副議長によって協力の合意に至った。同大使館はプロジェクトの計画表などを提案したとしているが、詳細は明らかにしていない。

両国は2018年に「一帯一路」構想に関する覚書を結んでおり、実行に移す形だ。覚書では両国が一帯一路の下、インフラや技術、観光、バイオ医薬品などの重点分野でプロジェクトの協力計画を進めていく方針を示した。

中国が2013年に「一帯一路」構想を打ち出して以来、対象国はアジアからアフリカ、欧州、中南米へと広がった。中国はインフラ整備への投資により、貿易ネットワークの構築を目論んだが、近年では、影響力拡大のために新興国を借金漬けにする「債務のわな」との批判が広がっている。

スリランカでは債務免除と引き換えに、中国の融資で整備したハンバントタ港の運営権を、2017年より中国企業に99年間貸与する契約が結ばれた。インド洋海域で活動する足掛かりを掴んだ中国に対し、各国の警戒が一層高まっている。

中国はガーナやザンビアなどの資源国にも触手を伸ばしている。中国の研究者は、鉱物資源と石油資源に恵まれているキューバは「中国にとってニッケル鉱石の主要な供給源となっている」と指摘。中国はキューバの天然資源に目を付けていると明らかにした。

さらにキューバの風力発電所に風車を供給したり、シロ・レドンドにある同国初のバイオマス火力発電所の建設を中国企業が監督するなど、エネルギー分野でも結びつきが強い。超党派組織アメリカン・セキュリティ・プロジェクトは、キューバの中国とベネズエラへのエネルギー依存について「南半球の安全保障に深刻な影響を与える」と警戒を強めている。

中国の壮大な野望

中南米などを担当する米南方軍のクレイグ・ファラー司令官は3月の議会公聴会で、中国は軍事力を拡大するため「グローバルな物流と基地のインフラを南半球に確立しようとしている」と指摘。その野望を達成するために「全面的な攻撃」を行っていると議員たちに警告した。

さらに公聴会後の記者会見では、一帯一路に基づく海外港湾の買収と政治的な影響力を行使するための融資、主権を損なうワクチン外交、違法・無規制・無報告の漁業などを含む資源開発をあげ、中国共産党政権の影響力を「陰湿」「腐食的」「腐敗的」と表現した。

ステファニー・マーフィー議員は4月、ラテンアメリカおよびカリブ地域における中国の影響力拡大の取り組みについて、米政府に包括的な評価を含む議会向けの報告書作成を義務付ける法案を提出した。

報告内容は、中国とキューバおよびベネズエラとの関係や、同地域の天然資源を利用しようとしている中国の動きが対象となる。

マーフィー氏は声明のなかで「米国の政策立案者にとって、中国のこの地域(ラテンアメリカおよびカリブ地域)での目論みを理解し、中国の攻撃的な行動に対抗し、中国共産党に責任を負わせるための効果的な戦略を持つことが重要だ」と強硬姿勢を示す必要性を訴えた。

米国をはじめ国際関係担当。