防衛省によると、岸信夫防衛相と中国の魏鳳和国務委員兼国防相は27日、テレビ会談を行った際、日中間の偶発的な軍事衝突を回避するために、両国防衛当局間の専用回線「ホットライン」を2022年末までに設置することで一致した。
防衛省の発表では、両大臣は、2018年に運用開始した「日中防衛当局間における海空連絡メカニズム」について、その実効性を向上させるため「日中防衛当局間ホットライン」の早期開設が重要であると改めて確認した。また、来年内のホットライン運用開始を目指すことでも意見一致したという。
しかし、両大臣のテレビ会談に関する中国国防省の声明には、魏国防相がホットラインの開設に賛成したとの記述はない。魏氏が「日中防衛当局は交流と実務協力を強化し、海空連絡メカニズムをさらに発展させる必要がある」などと述べたという。岸防衛相の発言として、「日中間の海空連絡メカニズムにおける直通電話回線の構築を推し進める」と紹介した。
英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)28日付は、今回の日中防衛両トップのテレビ会談に詳しい情報筋の話を引用し、日中両国が軍事衝突回避のためのホットラインの設置で意見が一致したとしても、日中関係に大きな変化は生じないと指摘した。
同報道によると、米中両国間にも、危機的な状況に対処するための軍事連絡用ホットラインが設けられている。米政府の担当者がホットラインを通じて、中国当局の担当者に連絡を取ろうと試みたが、電話に出る人はいなかったという。
いっぽう、岸防衛相はテレビ会談で、魏国防相に対して、「台湾海峡の平和と安定はわが国の安全保障にとっても、国際社会の安定にとっても極めて重要である」と直に述べ、「今後も動向を注視していく」と伝えた。
東京外国語大学の小笠原欣幸教授はフェイスブック上で、日本政府の高官が中国当局者に対して、台湾海峡の平和と安定について直接申し入れるのは「極めてまれである」との認識を示した。
中国国防省は、声明に岸大臣の台湾海峡に関する言葉は記載していない。
(翻訳編集・張哲)
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