[モスクワ 20日 ロイター] – ロシア政府は20日、同国がウクライナ問題に絡んで提示した安全保障要求について、米国からの速やかな回答を求めており、自国の不安を和らげる政治行動が見られない場合、軍事力行使も辞さないと改めてけん制した。
ロシアがウクライナ国境付近に軍の大部隊を集結させているため、西側諸国との間で緊張が続いている。こうした中でロシアは先週、西側諸国との交渉に際して安全保障上の要求項目を示し、NATO(北大西洋条約機構)が東欧とウクライナで軍事行動を放棄することなどを促した。
米国はこのロシアの提案の一部は明らかに受け入れられないと反発しつつ、今週中に何らかの協議を通じてより具体的な対案を出す意向も打ち出した。
サリバン米大統領補佐官(国家安全保障問題担当)の報道官は、サリバン氏がロシアのウシャコフ大統領補佐官と電話会談し、米政府がさまざまな外交チャネルを通じて対話する用意があると伝えたと説明。さらにサリバン氏が「対話はあくまで相互的で、ロシアの行動に対する米国の不安を解決されなければならず、欧州の同盟諸国や友好国と全面協力する必要もある」と述べ、事態が緊迫化せず落ち着く方向にない限り、対話の進展はないとも指摘したという。
ロシアのリャブコフ外務次官は、まだ米国から回答を受け取っていないと主張。ロシア通信(RIA)によると、「米国側は引き延ばし戦術を行使しようとしていると思う。しかしわれわれは急がねばならない。なぜなら情勢は困難を極め、切迫しており、より複雑化する傾向にあるからだ」と発言した。
またウィーン駐在のロシア外交官の1人は、ロシアとNATOの関係は「正念場」を迎えていると語り、NATOが真剣な対話に応じなければ、待っているのはロシアの軍事的な対応になるとくぎを刺した。
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