中国の専門家や人権団体は、大紀元の動画コンテンツ「EpochTV」に出演し、中国共産党は2022年の北京冬季五輪後、国際的なルールに基づく秩序に対してより大きな脅威となると警鐘を鳴らした。さらに、出場する選手の「拘束」もあり得ると指摘し、米国の全面的なボイコットを呼びかけた。
連邦議員や民間の専門家からなる政策提言組織「Committee on the Present Danger: China(仮邦訳:中国の現在の危機に関する委員会)」の創設メンバーであるブラッドリー・セイヤー氏は15日、中国共産党は北京冬季五輪を「党の威信」を高め「将来は中国の手にある」というメッセージを発信する機会とみなしていると述べた。北京冬季五輪後、インドと台湾に対する反発を強め、中国国内の人権侵害は「悪化する」と指摘した。
さらに、中国の五輪開催を許したのは「米国の道徳的欠陥」だと表現し「より早い時点から、中国共産党政権に重要なシグナルを送るため国家連合を組織すべきだった」と述べた。
米バイデン政権は、開幕まで2カ月を切った北京冬季五輪について「新疆ウイグル自治区におけるジェノサイドやその他の人権侵害」を理由に外交的ボイコットを表明。オーストラリアや英国など6カ国以上がこれに追随した。
参加選手の拘束もあり得る
EpochTVでは、北京冬季五輪に参加する米国選手の安全についても議論された。
国際人権団体「セーフガード・ディフェンダーズ」のローラ・ハース氏は、中国共産党の人質外交や出国禁止に関する過去の記録を鑑みると、選手の拘束に関する懸念は払拭できないという。
ハース氏は、アイオワ・ウェスレヤン大学の元バスケットボール選手・ジェフ・ハーパー氏が、過失致死の疑いで中国当局に8カ月間にわたり軟禁された事件を挙げ、「同様のことが繰り返される可能性がある」と警告した。ハーパー氏は、悪臭を放つマットレスとプラスチック製の椅子しかない部屋に軟禁され、体重が約20キロ減少したと語っている。
セーフガード・ディフェンダーズによれば、2020年の「部屋に軟禁する」ケースは前年比91%増の約5810件を記録したという。中国の公開裁判記録を元にしているため、実際の数はもっと多いとしている。
現在、米国務省の中国を訪れる米国人向けの渡航情報では、中国が「外国政府に対する交渉材料」として、法律を恣意的に執行して不当に拘束したり、出国禁止措置を取る可能性があると注意を呼びかけている。
セーフガード・ディフェンダーズは11月30日、2016~2019年の間に海外で逮捕された台湾人600人以上が、中国に送致されていたとする報告書を発表した。台湾人は中国本土に家族もおらず、迫害されるリスクを孕んでいるという。
台湾では、北京五輪に参加する台湾選手が中国当局に「台湾独立分子」として拘束される危険性があるとして、ボイコットを含めた厳しい対応をとるよう台湾当局に求める決議案を台湾の立法院に提出するなど、警戒を強めている。
ご利用上の不明点は ヘルプセンター にお問い合わせください。