政府は11月26日、防衛関係費7738億円などを盛り込んだ2021年補正予算案を承認した。防衛費の金額は、補正予算で計上する額として過去最大となった。ドイツなどの専門家は、中国当局の軍事的挑発行為に直面し、日本は米国の今世紀最も重要な軍事同盟国になるとの見方を示した。
政府が決定した補正予算案と当初の予算を合わせて、2021年度の防衛関係費は、前年比で14%増の6兆1000億円で、国内総生産(GDP)比で1.09%となった。
ドイツメディア「ドイチェ・ベレ」中国語電子版は5日、日本の防衛費の対GDP比が初めて、1%を上回らないとの不文律を打破したとの見方を示し、日本政府は「防衛力を強化し、日米同盟関係を一段と強固にする決心を見せた」とした。
岸田首相は同月27日、陸上自衛隊の朝霞駐屯地で開かれた観閲式に出席した際、自衛隊員800人に向けて、「敵基地攻撃能力の保有も含めて、あらゆる選択肢を排除せず検討し、必要な防衛力を強化していく」と述べた。
仙台白百合女子大学の人間学部で教鞭をとるドイツ人学者、セバスティアン・マスロー氏はドイチェ・ベレの取材に対して、日本は防衛政策を転換し、「戦後の平和主義について再定義が進められている」と指摘した。同氏によると、2012~20年までの8年間において、安倍元政権は現代武器システムを一段と発展させ、防衛力のさらなる増強を図ってきた。マスロー氏は、岸田政権は安倍元政権の防衛政策方針を踏襲し、米国などの同盟国と共に「より多くの安全保障政策に参加する」と予測した。
いっぽう、米ジョンズ・ホプキンス大学の政治学者であるハル・ブランズ氏は、今後イギリスの代わりに、日本は米国の「21世紀における最も重要な同盟国になる可能性が高い」との認識を示した。
ブランズ氏は、日本政府が国の防衛を米国に任せるという「時代は終わろうとしている」と指摘し、その背景には米国のトランプ前大統領が掲げた「アメリカ・ファースト」があるとした。しかし、同氏は好戦的な中国当局が、日本がより強硬的になった主因であると指摘した。中国当局の公船や軍機は、日中双方が領有権を主張する尖閣諸島(中国名は釣魚島)に頻繁に侵入し、台湾海峡でも挑発行為を繰り返している。ブランズ氏は「中国指導部は様々な方法で、日本に代価を払わせると暗に警告している」と述べた。
安倍元首相は12月1日、台湾の民間シンクタンクが開催したフォーラムにオンラインで出席し、「台湾の有事は日本の有事であり、日米同盟の有事でもある」と述べ、中国当局が台湾に武力侵攻する場合、日本は軍事介入する可能性があると示唆した。同氏はまた、中国側の「軍事的冒険は経済的自殺への道でもある」「習近平主席は決して誤認してはならない」と述べた。
(翻訳編集・張哲)
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