中国台山原発 燃料棒70本以上破損 設計ミスか=仏放射能NGO

2021/12/01
更新: 2021/12/01

仏NGOはこのほど、内部告発者からの情報として、今年6月に放射性希ガスの漏洩が報じられた中国広東省の台山原子力発電所について、破損した燃料棒が70本超と当初の発表の5本をはるかに上回っていると明かした。原子炉圧力容器の設計ミスが原因である可能性が高いという。仏国営ラジオ放送局RFIが11月28日に報じた

台山原発は、中国広核集団(CGN)とフランス電力(EDF)が共同出資で建設した。EDFが30%の株式を保有し、世界初の欧州加圧水型炉(EPR)を導入した原子力発電所である。マカオから64kmの距離。

当時、CGNとEDFは、原子炉内の燃料棒の被覆材が破損したためだと説明し、破損した燃料棒は「数本」で許容範囲内であることを強調した。同原発は7月、1号機の稼働を停止した。

仏NGO「放射能に関する独立研究・情報委員会(CRIIRAD、クリラッド)」は、フランスの原子力安全当局に宛てたメールの中で、事故原因の可能性について内部告発者と接触したことを明らかにした。

この内部告発者は原子力業界で働くフランス人エンジニアで、台山原発の詳細な技術情報にアクセスできるとし、燃料棒に見られる損傷が「異常な振動」によるものだという。

クリラッドのブルーノ・チャレイロン代表はこの内部告発者の話として、「損傷した燃料棒は公式発表の数本ではなく70本以上で、しかも損傷が激しく、(2018年の)最初の試験運行段階ですでに不具合は見つかっていた」とRFIの取材で明かした。

その原因について、原子炉圧力容器の設計に欠陥があるためだという。「圧力容器の現在の形状は循環する冷却水の流れを均衡にすることができず、容器内で異常な振動が発生し、燃料棒を破損させた可能性が高い」と同代表は説明した。

同代表は「同原発は最初からこの状況を把握していた」とも話した。

台山原発をめぐっては6月14日、米政府が放射性物質漏れがあったとの情報を検証していると、米CNNが報じていた。

中国政府はその後、燃料棒の破損を認めたものの、「よくある」問題で、放射性物質の漏洩はないと説明。周辺の放射線量に異常はないとしていた。

(翻訳・叶子静)