中国共産党機関紙・人民日報系「環球時報」の編集長である胡錫進氏は2日の社説で、国際ジャーナリストNGOの国境なき記者団(RSF)が毎年発表する世界報道自由度ランキングで中国政府が最下位になったことを不満に思い、同組織を「野犬」と罵倒した。
RSFは4月の年次報告書で、中国政府は報道の自由を最も破壊している国の一つであると述べている。2021年の世界報道自由度ランキングで、中国は3年連続で180カ国中177位だった。
「環球時報」の社説は、RSFを「中国の前を歩く野犬のようなもの」と罵倒し、「『犬叩き棒』を持ち歩かないと行けない」と罵詈雑言を浴びせた。
これに対し、RSFのクリストフ・ドロワール(Christophe Deloire)事務局長は、反論の声明を発表した。
声明の中で、ドロワール氏は「この荒々しい脅迫記事の中で、胡編集長は自分の主張を裏付ける事実を示すことなく、RSFの活動を激しく攻撃している」と述べている。
「中国共産党政府は、自身のプロパガンダに合わないすべての事実情報を『フェイクニュース』とするのと同様に、RSFに反中国のレッテルを貼っている」と指摘した。
世界報道自由度ランキングの順位決定方法について、ドロワール氏は「2002年から発表されているこのレポートは、客観的な基準で報道の多元性、独立性、法的枠組みの水準、ジャーナリストの安全性などを評価し、ジャーナリストが享受している自由の度合いを反映している」と強調した。
RSFへの侮辱や脅迫に対し、声明は「北京政権は、批判者を黙らせるために脅迫や暴力を使うことしか知らない」と反論している。統計によると、中国では現在、少なくとも122人のジャーナリストや報道の自由を擁護する市民が投獄されており、憂慮すべき事態となっているという。
RSFはこれまで、市民を抑圧してきた中国の法制度や法の濫用を非難していた。RSFが中国共産党の悪行を糾弾し続けるならば、「犬叩き棒」を使うと胡氏が脅したことに対し、ドロワール氏は「この脅しとはいったい何なのか」を知りたいと答えた。
パリを拠点とする「国境なき記者団」は、1985年にロベール・メナール(Robert Ménard)氏によってフランスのモンペリエに設立され、ジャーナリストを迫害から守り、報道の自由を促進することを目的としている。
(翻訳編集・王君宜)
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